家族ってなんだろう(2)父と母の出会い

2003年頃だったろうか、母の病状が深刻になり、ほとんどベッド上で生活していた時期、世話をしに通っていた私に
「お父さんは、なんであんなにすぐに怒るのかしら。いきなり目を三角にして怒るの。」
と、母がぼそっと言ったことがあった。

私は、
「お父さんの脳には傷があるのよ。だから怒りのコントロールができないのね」
と、その場の思いつきで答えた。

しかしながら、この判断あながち間違ってはいないと、私は今でも思っている。

妹の旦那さんは、
「お父さんはアスペルガーじゃないか」
と言っているという。
実は、私もそのように思っている。

発達障害について詳しいわけではないから確かではないと思うものの、傾向として何らかの脳障害があるのではないかと疑っている。
 ひとつのことに特化してよくできるが、それ以外のことが極端に苦手であること。
 人の意見を聞けないので、周囲との摩擦が多いこと。
 感情のコントロールがうまくできないこと。
 とくに怒りの感情を抑えることができず、大声で怒鳴ることで相手をねじ伏せようとすること。



父の青春時代については、私はほとんど何も知らない。
九州から京都の大学に入学したものの、講義が面白くなかったらしく、東京の大学を受け直したと聞いたことはある。
大学時代は渋谷にある寮に入っていた。

その頃に、高校生だった母を見て一目惚れしたらしい。
母の家は政治家や弁護士といった家系で、松濤にある大きなお屋敷に住み込みのお手伝いさんたちと乳母のいる家庭環境だった。
門の近くに門番小屋のような小さな家があり、庭師職人一家が住んでいたという。
3人兄妹の真ん中だった母だが、3人それぞれに乳母がひとりずつついていて、学校の送迎に付き添っていたらしい。

父は自分が欲しいと思ったものは、なんでも手に入れなければ気が済まない。

自分の職業も小学生の頃に決めた通り、国家公務員になった。
そして、嫁も自分でこの人だと思った人を何が何でも手に入れようと画策していた。

渋谷の祖母は、『九州の田舎の貧乏ザル』に娘をやるつもりはなかった。

が、父の攻略に負けた。父が無理やり頼んだ仲人を通して、正式に話を持ち込み、ありとあらゆる手段を使って母との面会に漕ぎ着けた。

母は嫌で断ったものの、何度もしつこく仲人が食い下がり、とうとう祖母が陥落。

まだ若い母に結婚の約束をさせる強引なやり口は、父の生き方そのものだった。

なんでも自分の思い通りにしなければ気が済まない。

そこに相手の気持ちなどは関係ない。

そのあたり、発達障害なのではないかと、私が疑っている理由だ。

父は母と会うたび毎回、父が歴史の講義をするというのがデートのスタイルだったらしい。
母は歴史に興味も関心もないから嫌がったが、父はお構いなしに「前回の続きから」と言って講義を続けたそうだ。

母が「熱があるから、今日は休みにしてくれ」と言っても、家に上がり込んで歴史の講話をしたという異常さに、なぜ、周囲が気付けなかったのか、私は不思議でならない。

昭和25年ごろのことだ。
今の時代なら、パワハラ、モラハラ、ストーカーというレッテルを何枚も貼られるような強引で傲慢な父だったが、誰もがその大学の名前と職業とに惑わされ、父の真の姿を見落としていたとしか思えない。

結局、根負けと祖母の翻意により、母は大嫌いな父と結婚することになってしまった。

それが父26歳、母21歳のことだ。
父は最初の赴任地である名古屋で仕事を始めたばかりのころだ。

東京渋谷で生まれ育ったお嬢様の母は、誰も知る人のいない名古屋に連れて行かれた。

当時のお給料は民間企業より安月給で、もともと貯金もない父には家財道具を買うお金もなかった。
その上、父は九州に給料の半分ほどを仕送りしていたというのだから、母はどれだけ貧しい暮らしを強いられたかわかったものではない。

母は、
「りんご箱をひっくり返して、お鍋を置いて、お箸を直接つっこんで食べてたの」
と、お嬢様生活では考えられないような生活を案外面白がっていた節もあった。

与えられた運命に逆らわない母の生き方は、父のような人を相手にするときに有効なのかもしれない。

が、父に支配されることを「よし」としてしまう母の性格のおかげで、家庭のバランスが崩れることにもなったと私は思う。

我が家の歪んだ構図を生む結果を招いたのは、父の責任だけではないのかもしれない。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 23

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた