家族ってなんだろう(7)スカーレットに思う

朝ドラ「スカーレット」を観ていて、時々涙が出る。

はちゃめちゃ破天荒なおとーちゃんはドラマの中では既に亡くなってしまったが、自分の思ったように家族を振り回す生き方を貫いた。
とくに長女の喜美子への風当たりは強かった。
長女は賢いのに進学させてもらえず、借金を抱えた呑んだくれの父のため、父が見つけてきた女中の仕事をしに大阪に出されてしまうが、自分の進学への夢も諦めて素直に従う生き方は、それしか選択の余地がないことを認識していたのだろうな、と思うものの中学を卒業したばかりの年齢で、あそこまで達観できる主人公には恐れ入る。

子供に生活の心配をかけ、生活費を稼がせるという情けないおとーちゃんで、家族に暴力を振るうようなおとーちゃんでも、お膳をひっくり返すようなおとーちゃんでも、妻も長女も父をとても大事に思っているのは、なぜなのだろう。

唯一、次女は、おとーちゃんに反発を感じて家を出て行ったり、髪の毛にパーマを当てたり、3姉妹の中では一人反骨精神があり、少し異種な存在だが、それでもおとーちゃんのことを心の底では好きでいる。

おとーちゃんの方針に、おかーちゃんは黙って従っている。
借金のために娘に女中をさせるなど、母親だったら心配で反対しそうなものだが、母親自身も長女を頼る。
頼られた長女は、自分の与えられた運命の中で健気に働き、仕送りをする孝行娘だ。

私は、長女喜美子を自分に当てはめてみていることが時々ある。
この人は、こんな状況の中で、なぜこんなにも明るく楽しそうに笑うのだろう。
呑んだくれで、どうしようもないおとーちゃんなのに、なんで喜美子は優しくしてあげられるのだろう。
大きな声で乱暴に命じる父に対して、なぜ、こんなにも寛容でいられるのだろう。

私と決定的に違うのは、喜美子は、おとーちゃんに自分の意見を言うところだろう。
自分の意見が通ろうが通るまいが、とりあえずは立ち向かって意見を言う強さがある。

私は、怖くて父に何も言えなかった。


富田靖子演じるおかーちゃんのフォローも素晴らしいと思う。
喜美子に感謝し、すまないという気持ちを表しながらも頼りつつ、応援もしている。
妹たちも成長とともに姉の立派さ、ありがたさを認識し、頼りにしながら、仲良く、いざという時に団結できる関係にある。

喜美子は、自分が家族から愛され、必要とされていることを十分に認識できていたのだろうと思う。


私のことに話を戻すと、、、
祖母と離れ離れになり、私には全面的に味方してくれる人がいなくなった。
頑張っても褒めてはもらえないし、もちろん感謝もされない。

たまに、母の取りこぼしている家事をこっそりフォローすることがあった。
そもそもが家事の苦手な母だったから、洗面所の掃除や靴磨きは手抜きだった。
私は、時々、洗面台の汚れをきれいに拭き取り磨き上げていたが、きっと誰も気付かなかっただろうと思う。
靴磨きも楽しかった。
それでも、私は自分がやったことをアピールするような可愛げのある子ではなかった。
たぶん、それを主張すれば
「そんな時間があるなら勉強しろ」
と、父から怒鳴られるのは必至だったし、母が責められるであろうことも想像できたから何も言わない。

私が怒鳴られていても、誰も援護射撃をしてくれないし、あとでそっと慰めてくれる人もいなかった。
これがスカーレットの喜美子と私の立場の違いだったのかもしれない。

喜美子の妹たちは、姉を尊敬しているのだと思う。理不尽なことを父親から言われても素直に従って生活を支えてくれる姉を尊敬していたから、いざという時には、姉の味方になってくれている。

私は違った。妹には、どういう風に見えていたかわからないが、いつも怒られては泣いている姉を遠い存在に思っていたのかもしれない。
母はどう思っていたのだろう。例えば、父の怒鳴りタイムが終わって私が泣きはらした目をしている姿を見ても、1度も私に寄り添ってくれなかった母は、何を思っていたのだろう。ドラマだったら、慰めの言葉を言う母や妹がいるのに、現実の私には居なかった。
そういう人はどこにも居なかった。
寂しくて、祖母を訪ねて行ったことがあるくらいだが、祖母にも心配をさせたくなくて父に怒鳴られていることは言えなかった。

時には、妹の行動によって私が父に叱られることになる。そういう存在が妹だった。
「私は、こんなの簡単にできるもん」
と、父の前でアピールする妹のおかげで、私がまた怒鳴られていた。

妹と同じことを私ができたら、そんなのは当たり前のことで、妹が私と同じことができれば、私が怒られるという方程式があることを妹は知っていたのかどうかわからないが、私には疎ましい存在だった。


朝ドラのヒロインは、妹の学費まで出してあげるために一生懸命に働き、内職もしていたけれど、なんでそんな優しく心が広いのだろうと思う。
大変でも、いつでも笑っている。
どうして自分の過酷な運命を笑って受け止められるのだろう。

私は、どうして自分の運命を笑って受け止められなかったのだろう。

なにか私に欠けているところがあったのだろうか。

喜美子にはあって、私にはなかったものは、なんなのだろう。

朝ドラから、私はそんなことを思っている。

(この記事を書いていたのは、1月のことです。朝ドラは、もうすぐ終わりですので、内容はずいぶんと変化してきています。
コロナの話題でストップしていたシリーズですが、ゆるゆる復活したいと思っています)

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