空港セキュリティチェック

国内線を利用で、日帰りで羽田ー佐賀 往復した。

92歳の父は、ホテルに宿泊すると室温、枕の変化などで体調を崩すと思い込んでいるので、強行スケジュールでも日帰りを所望し、仕方なく私と妹も同行した。

母の十三回忌法要のため、父の故郷である佐賀に行った次第だ。

そのことは、後々書く(かもしれない)として、帰りの佐賀空港でのことだ。

セキュリティチェックをきちんとするのは、物騒な世の中なので当然といえば当然だろう。そのシステムを無視する父もいけないといえばいけないのだが、

「上着は脱ぐ。財布など、ポケットに入っているものを出す」
そんな娘の親切なアドバイスを無視して、

「俺は、どうせ鳴るんだから構わない」
と、何が構わないのか知らないが、上着に財布を突っ込んだまま、それを着た状態で金属探知のゲートをくぐった。

当然、鳴るわな。

キンコンキンコン

赤ランプが点滅して、危険人物を知らせる。正しい機械の作動だと思われる

そこで係のお姉さんに上着を脱がせられ、財布も含めて、カゴに乗せられる。本人はワイシャツ姿で、もう1度ゲートをくぐるように指示される。

その辺りで、すでに腹を立てているわけで
「だから、俺は鳴るんだ」
と、なぜか威張る。

補聴器をつけているので、それが鳴るのだと本人は申告するが、お姉さんは、マニュアル通りのボディチェックを始める。ワイシャツにズボン姿の高齢者の身体を金属探知の棒で撫で回す。

あちこちでピーピー鳴る。

「すみません。サスペンダーを外していいですか」
と、言い、父のサスペンダーを肩から落とした状態で、なおも探知器を身体に押し付ける。サスペンダーを外すと、痩せている父のズボンは落ちそうになり、そのお腹の隙間まで、金属探知をするお姉さん。

私も妹も、
「何も、こんな高齢者がハイジャックしないとは思うけどねえ」
と、最初は余裕をかまして笑っていた

が、父は、立たされたまま、しつこくボディチェックを受け、ズボンのホックまで外すよう言われ、とうとう怒り出す。

「おい!そんなにするなら、裸になればいいのか!! ああ、ここで脱いでやるぞ。
全く不愉快だ!失礼だぞ!」
と、大声を出す。

佐賀空港をご存知の方は、おわかりと思うが、地方の小さな小さな空港で、ゲート前の待合室なんて、田舎の駅の待合室のようなものだ。2つしかないゲートは、2つに分ける必要もないほど、ワンルームにまとまっている。

かなりの人が待合室にいて、父の様子は丸聞こえの丸見え状態だ

「こんなところで年寄りを晒し者にして、あんたのやっていることはおかしいぞ」
と、父が怒る。

それでも、お姉さんは
「ご協力ありがとうございます」
と、言いながら、なおもマニュアル通りにボディチェックを執拗に続ける。

「俺は不愉快だ!」
と、父の怒りはマックスになり、私はついつい

「まあ、この人に怒っても仕方ないじゃない。マニュアル通りにやっているだけなんだから」
と、要らぬことを言ってしまう

「マニュアルったって、失礼だぞ。」
と、さらに声を荒げる。

こちらに飛び火してはかなわないが、こういう時、長女の私はすぐになんとかしようとしてしまうわけで、首を突っ込んで大怪我するタイプ。それにひきかえ、妹は遠巻きに無関係であることを装っている

ここが要領の悪い長女と、要領の良い次女の違いなんだな。

それでも果敢な長女は

「この人はマニュアル通りにやっているだけで、文句はこの人に言っても仕方ないのよ。文句なら会社に言わなきゃ」
と、言っちゃう。
父を煽ることになる。

「何がマニュアルだ。全くもって失礼だ」
ほら、見たことか。私に怒りのベクトルが向きそうじゃないの。くわばらくわばら。


「補聴器を調べた方が早くないか!!」
と、父が怒りながら言っても、お姉さんは無視してボディチェックを続け、ズボンをくまなく調べた後は、足元を手で撫で回している

父が怒るのももっともだという気もしてくるが、そもそもが上着を脱いでチェックを通さなかった父にも非があるわけで、私は父をかばうこともできず、この先、怒りが増幅して私に向かないことを祈るばかりだった。

結局、何も出ない

そりゃそうだろう。父にはハイジャックして行きたい外国があるわけでなし、金銭要求をするつもりもないし、自殺願望があって爆破しようという考えもないもの。

「ご協力ありがとうございました」
と、言って、検査は終わった。

父は納得いかない。

「で、わかったのか!!え?? 失礼だぞ、不愉快だ!!原因はわかったのか!!!」
と、最後の捨て台詞を忘れない。

お姉さんは、あくまでも謝らないで
「ご協力ありがとうございました」
を繰り返すだけだ。

それもマニュアルなのだろう。

父の味方をする気など毛頭ないが、確かに、改善の余地がありそうな気はする。私がこの会社の幹部なら、こういう場合、ひとりの若い女性だけに任せず、男性が出てきてきちんと対応させると思う。

このお姉さんは、まだ若くて、習ったことしかできないような真面目な子なのだと思う。言葉も知らないし、余計なことを言ってはいけないと教わっているのかもしれないが、臨機応変に客を見てきちんと対応できなければいけないとは思う。

人間が人間と相対するというのは、そういうことだと思う。それは経験がないと、なかなかできないことであり、若いお姉さんは、ご協力ありがとうございましたと言った後、たぶん泣いていた。途中ですでに泣きそうな顔をしていたから、誰も援護してくれなかったことで心細かっただろうし、いろいろな思いで泣いたと思う。

マニュアル通りっていうのは楽かもしれないけど、人と接する仕事にマニュアルしかないというのは、いかがなものなの?

と、考えさせられる一件だった


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この記事へのコメント

2017年06月06日 15:03
yu_mamaさん
佐賀を日帰りでご法事でしたか。お父様も大層お元気でいらっしゃいますね。上京の折、主人の様子を思い出しながら拝読しました。
あちらこちらのポケットからバックからジャラジャラともう大変、何がピーピー鳴るのかわからずも時間はかかるは、本人怒り出すやら、(私は慣れたもので少し離れて傍観) 以後すこしは懲りたようで身軽になったこと思い出しました。
今はもう二人とも上京する元気もございません。
お元気は皆さまがうらやましいです。
yu_mama
2017年06月06日 22:43
つくしさま
そうなんです。ゆっくりできたら、そちらまで伺えましたのに。残念です。父が、宿泊は体調を崩すと思い込んでいて、何が何でも自分のベッドで寝ないとダメらしいです。

あらら、ご主人様もセキュリティチェックに引っかかってしまいましたか。
怒った人に対して、傍観すれば良いのでしょうが、そこが私の習性でしょうか、飛んで火にイル。。。んですよね~~。諭そうとしちゃうので、かえって煽る結果になります。
飛行機は、私ももうあまり乗りたくないし、遠出は嫌いです。遠出どころか、近場も私は家にこもっているのが一番好きなので、出不精ですね。そういう私が、まだ中国と日本を行き来しなければならないのですから、やれやれです。

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