前世フランス人だった!?

 日本滞在中は、ただただ食べて飲んで遊んだだけか?と問われれば、まあ、そうなのだけど、一応、これでも少しはお勉強をしたり、ピアノ練習をしたり、ドイツ語と闘っていた。それらの話は、追い追いということで。

 大学時代の友人と会った時の話を先にしよう。(忘れないうちに)

 彼女が子育て論について
「フランス人の子育てが良いそうよ」
と、述べた。
簡単にまとめれば、子供の意思を尊重するアメリカ式に対して、フランス式は子供はそもそも何もできない存在なのだから、親がきちんと教えていかねばならないというのだ。

例えば、夜は寝なければならないことを赤ちゃんの時から教える。夜泣きをするからといって、いちいち慌てて対応するのではなく、泣いてもなんでも寝なければならないことを習慣から学ばせる。

一時、日本でも声だかに言われた「褒めて育てる」「子供の意思を尊重する」ということと逆行するようだが、子供は何も知らないで生まれてくるのだから、教えるべきことは叱ってでも教えなければならないということらしい。躾という言葉が、ともすれば消えそうな日本の現状は、アメリカ式の育児方針を踏襲しているわけで、その結果が芳しくない状態で現在のさまざまな家族間問題を引き起こしているというのだ。

フランス式は、子供は何も知らない、何もできないものというベースがあり、だから子供にルールを教え、いけないことはいけないと厳しく躾ける必要があるという考え方だ。だからといって、親子関係が冷え切るかといえば逆で、良好な家族関係ができているという。

 「私、もっと早くにこれを読んでいたらな~って思うのよ」
と、世田子は言った。何かに、フランス式子育てのことが書いてあったのを最近読み、自分が子育てに振り回されていた頃に読んでいたらよかったと思ったそうだ。63歳になった今、彼女は孫に実践しているらしい。といっても、もちろん自分の子ではないので、直接子育てをするわけではないが、孫とたまに会った時にも、媚びたりしないらしい。

 「だからね、孫は私のことが一番怖いと思っているのよ」
と、笑う。

 ふ~ん。いや、ちょっと待てよ。と、私。
 「私、かなり我が子を厳しく育ててきたから、もしかしてフランス式を実践してきたかも」

 最初の子育てを香港でしていたが、買い物や食事会に行く時には、必ずベビーシッターに預けて留守番させていた。会社の奥様同士のランチ会に、バギーや抱っこ紐で子供を連れてくる人は何人もいたが、私は大人の集まりに子供を参加させる考えはなかった。夜に食事会がある時には、シッターさんに特別に来てもらって、やはり留守番させていた。

 離乳食時代に口から、ベーッと出しても、
「人が作ったものを食べないの!」
と、わかってもわからなくても娘に言い、何度でも食べさせ、結果は好き嫌いのない子に育った。

 甘いものは、3歳過ぎるまでいっさい与えなかったし、市販のお菓子を欲しがっても買わなかった。

 2歳くらいになれば、食事時間に勝手に食卓を離れることはいけないことだと教えた。全員が食事を終わるまでは、席を立ってはいけないと教えた。食事中のテレビも、もちろんNG。 
 公園で遊んでいても、時間になったら必ず家に帰り、夜は7時にはふとんに入れて、本を一冊読んだところで消灯して7時半以降は、寝室から出てはいけないと言って子供だけで寝かせた。私は家事があるので、子供だけで寝るという習慣を身につけさせておいて、実はトレンディードラマを観ていたり自分の時間を確保した。自分中心だったかもしれないと反省がよぎることもあるが、親が子供に迎合するのは避けたかった。
だから、私は幼児語を使わず、すべて大人の普通の言葉で話していた。

 幼稚園の頃は韓国に住んでいた関係で、土曜日になるとゴルフ帰りに会社関係の方々が家に集まることも多かった。ホームパーティーを開く回数も多かった。大人が集まる時には、子供は子供部屋から出ないようにして、大人の中に混ざってはいけないということを守らせた。子供達は、子供部屋で食事をし、夜には自分たちでシャワーを浴びて寝るということができていた。

 挙げればきりがないほど、私は子供に対して「大人とは違うのだ」という目線で育ててきた。それは、その時代においては、厳しすぎて、子供には受難だったかもしれない。

 そんなあれこれを話すと、

 「ねえ、なんでyu_mamaは、そういう子育ての理念を持ったの?」
と、訊かれた。

 なんでだろう? 私自身が厳しく育てられたことが影響していることは間違いないが、大学時代だったか卒業してからだったか忘れたが、「子供は神様からの預かりもので、立派な社会人に育てて社会に返さなければならない」という一文をどこかで読んだのが大きいかもしれない。

 子供は天使でもなんでもない。選ばれてあなたの元に生まれて来た。その子をあなたは社会人にし、自立させなければならない。

 そんなことだったと思う。

 また、私より先に子育てをしていた人たちを見ていて、いろいろなことを感じ考えたことも影響しているかもしれない。

 香港に住み始めた頃には、私には子供がいなかった。友達2名が、それぞれの子供を連れて泊まり込みで遊びにきてくれた。2歳くらいの子達との生活を4日ほど体験し、ものすごく疲れた。子供に疲れたというよりは、子育てをしている彼女たちを見ていて疲れた。
 「なんで、そこまでして子供のご機嫌をとるの?」
という疑問は終始、私に湧いていた。

 たとえば、ビクトリアピークに遊びに行った時、歩きたくないという子に、あーだのこーだのご機嫌取りをして、遊びながら進む親の姿を見て、私は滑稽に思った。

 「ここを歩かなければ目的地に行けないんだけど、行くの?行かないの?」
とは、言わないんだな~と内心でイラついていた。

 食事中に、大人の会話なんてまったくできない。子供に食べさせるのに必死だったり、席を離れて歩き出す我が子を追いかけて親自身が席を立つという始末だった。

 夜は寝るまで添い寝して、寝かしつけた後に3人でお茶をしていても、泣けばすっとんで行って添い寝していた。彼女たちの四六時中を目の当たりにして、子育てって親が犠牲になることなんだろうか!?と、疑問を感じたのが自分の子育てにつながったかもしれない。

 実際に、彼女たちに質問をぶつけてみた。
「なんで、子供のご機嫌をとるの?」

答えは 「だって、そうしないとやってくれないんだもん」
だった。お風呂に入るにも、外を歩くにも、ご機嫌をとりながら誘導し、なんとか親の思う方向にいかせるのだという。

 なんで? お風呂に入らねばならない目的を教え、嫌でも今入るべきであると言えばいいんじゃないの?と、私は思ったものだ。

それから2年くらい後に、私も我が子を授かった。

 私が出産のため帰国し、実家で生後3ヶ月までを過ごしたが、そこに訪ねて来てくれた高校時代の友人の子は、我が子の目に指を突っ込もうとした。その子のお兄ちゃんは、磁石を実家のテレビに近づけてテレビが映らなくなった。人の家を縦横無尽に走り回り、片時も目が離せなかった。私の母は、相当ハラハラして見ていたらしい。

 人の家に行った時のマナーも教えないのか? やんちゃな男の子を2人育てるのが大変なのはわかるが、ここまで野性的に育てるものか?と、これまた疑問が湧いた。

 それら、すべてを経験した上に私の子育てがあったのかもしれない。

 が、こういうことを思いつくのに時間がかかり、
「なんで、yu_mamaは、そういう子育て理念を持っていたの?」
という彼女の質問には

 「う~~~ん、もしかしたら、私の前世はフランス人だったのかも」
と、答えるのがやっとだった。

 

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この記事へのコメント

2016年11月28日 19:04
私もyu_mamaさんと、もしかして同じだったような気がします。
今頃になって、怖かった~と、ちょーなんが言います。
「子供は神様からの預かりもの」というのは聞いたことがありますが、そんな高尚な気持ではなかった・・ここはyu_mamaさんとは違いますけどね。
ただ、ママ達が子供に媚びたりご機嫌を取ったり・・・これが不思議で仕方がなかったです。
なんといっても、私は自分の時間を大切にしていました。
ただ単なるわがままだったのかも・・・。
子供は8時には部屋に入っておかなくてはいけない、食事中は席を離れてはいけない、とかは同じですよね。

今の孫の教育を見ていると、お嫁さんはなかなか赤ちゃんに恵まれなかったこともあるでしょうが、何でも孫に聞くの。
これ食べる?たべない?・・と。
子供はパパがお金を運んだおかげで食べられるのだから、聞かなくてもよいのにと思ったりしますが、今の世の中ではそんな事は言えないのかなと、不思議ですよ。

yu_mamaさんの娘さん、素晴らしい女性になりましたね!!(*^^)v

私の場合も、フランス式とは違いますが、それでもまあ良い具合に育ってくれました。
2016年11月28日 21:54
こんばんは。

あぁ、ダメです。私は子供の頃、頻繁に怒鳴られ、叱られ、殴られましたが、それは、今にして思えば「躾」ではありませんでした。礼儀というものは親が教えなくても自然に身につくとでも考えていたのかと思えるほどで、友人や親戚から注意されて初めて気がつくことが多かったです。
そんな私が子供にキチンとした躾が出来るわけがなく、もう人間失格でございます。恥ずかしい限りです。
yu_mama
2016年11月29日 00:03
お啓さま
同じような子育てをなさっていらしたとは!嬉しいです。なかなか、今の若い世代の方々には受け入れられないようで、40代の男女から否定的な反論をいただきました。
今まさに子育て真っ最中の30代の方々を見ていると、よくこんなにも子供の意思を尊重して、自分が耐えていられるな~と感心してしまうほどです。子供を静かにさせるために、タブレットが必需品というのも、今時だな~とは思いますが、静かにする目的を教えずして、ただ黙らせるためにアニメを見せておくというのも腑に落ちません。

私もお啓さんと同じで、自分の時間を確保したいという気持ちが一番だったと思います。高尚なものではなかったですよ。
あとねえ、幼児言葉を使いませんでした。「くっく」とか「まんま」とか。大人が幼児語を使うのは、おかしい!というのと、正しい日本語を最初から教えた方が面倒がないでしょということです。じじばばが幼児語を使うので、多少の混乱はありましたけど。
と、言いつつ、マイケルにあうと幼児語が出てしまう私。

お啓さんのお子様方も、とても親思いの良い方々で、立派に育っていらっしゃいますものね。お互いに、これで「よし」ってことで。
yu_mama
2016年11月29日 00:13
カラスさま
こんばんは。

私も、子供時代にきちんとした躾をされていたかというと、ただただ「勉強しろ」と怒鳴られていただけで、勉強面以外は放置だったように思います。あとは、親自身のストレス発散のサンドバッグが私だったというくらいのものです。

たぶんに、私も親と同じようなことを我が子に対してぶつけてきたところもあり、その点は反省です。ただ、海外生活という場面を与えられたことで、そこでの生活に応じた躾をしてきたところはあります。手探りながら、大人の社会に子供が参加することは避けなければ!と思ったものです。
わかってもわからなくても、理屈を通し、目的が何であるかを伝えることは、やってきたように思います。ま、これも気まぐれで怪しいものなのですが、、。つまり、そんなに立派な子育てなんか、していないってことです。

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