やっちまったなー

 ずいぶんとご無沙汰してしまいました。

 色々とありまして。




 17日 ピアノの勉強会が開かれた。
2011年の「ソナチネの会」 2012年の「アダージョの会」に続く今年は「グリーグの会」だ。

お題は
 「グリーグの抒情小曲集の中から 選曲し15分程度でテーマをもったステージを作る」
というものだった。

 選曲に関しては個人任せなので、人とダブる可能性もあるのだが、なんと全くかぶることもなく4名合計で19曲が決まった。 私のテーマは「人生60年を振り返る」で、5曲を選んだ。

 グリーグを弾くのは人生初のこと。楽譜を見る限りは、とっつきにくいのだが、選んだ5曲を並べて練習するうち、ずんずんハマり込んでいく。難しいリズムや面倒な転調があるのだが、それが徐々に快感になってくる。これをかっこ良く弾けたら気持ちいいだろうな~と思いながら練習をしてきた。

 
 本番が12月17日ということで、私の心配は体調だった。ほら、いつも風邪を引いたら肺炎一歩手前までいっちゃうわけだし、インフルエンザの予防接種していたって罹るんだし、ノロだってすぐにもらっちゃう私だから、そりゃー冬場の本番は怖いわけ。おまけに「ドタキャンクイーン」という称号を持つ私。本番にアクシデントがつきものなのだ。

 ここ数日は、とくに喉をいたわり防寒対策をし風邪を引かぬよう心を引き締めていた。

 おかげで体調万全で当日を迎えられそうだ。前日の夕方も練習をしながら、無事に明日の本番を迎えられることに安堵していた。

 そんな夜も8時を過ぎた時、その電話は鳴った。 もひもひ夫じゃあないですよ。

 「お父さんだけど、転んじゃって、あいたたたたたーー。肩が痛くてたまらん。来てくれ」

 実家の父 88歳からだった。 

 電話を切るとすぐに車に飛び乗った。夫はまだ帰っていなかったが、Lineにメッセージを残し、実家へと向かった。車を飛ばせば20分ほどの距離を運転しながら、頭の中でシミュレーションする。もしも酷い状態であれば骨折しているだろうから救急車を呼ぶことにしよう。入院できれば、それに越したことはない。

明日のピアノのことは、すでに諦めていた。 またドタキャンしなければならないと覚悟していた。

 電話の内容を反芻してみる。たしか、本人は書斎で転んだと言っていた。2階の書斎には電話がない。リビングから電話をかけて来たところをみると、2階から階段を下りたはずだ。ということは、さほどの大事故ではなさそうだ。

 そんなことを思っているうち、実家に到着。ガレージから見る限り、家の中が暗そうだ。やっぱり電話をかけるのがやっとで倒れ込んでいるのか!?

 合鍵で解錠し、リビングドアを開けると・・・ テレビの前に座って、暢気にバラエティー番組を観ている。

 なんじゃこりゃ。

 しかし右手がかなり痛いらしい。着替えができないので手伝って寝かせてくれという。救急車を呼ぶ必要はないので、明日になっても痛かったら病院に連れて行ってくれという。なんでも天井に近いところの本を取ろうと回転椅子の上に立ち上がったらしい。

 バカか。

 普通ちょっと考えたらわかるだろうが。そんなこと、元気な20代の若者ならするかもしれないけど、私だってしないわ。そもそも書斎には壁2面に天井までの作り付けの書棚があり、上の本を取るための脚立も用意されている。その脚立の上に本を積み上げているものだから、それをどけるのが面倒で椅子を利用したに違いない。

 まあ、とりあえず普通に会話ができるし、痛いのは右肩あたりだけのようなので、今日のところは様子をみることにする。

 着替えが大変だ。冬場だから何枚も着込んでいる。ベストを脱がせ、カーディガンを脱がせ、ポロシャツを脱がせるところまでは、ヘルパー資格のある私にお任せください!ってなもんで順調に進んだが、長袖の下着、半袖のシャツは前開きではないし、

 「このまま寝れば」

 父は浴衣以外では寝られない。半袖シャツの上に浴衣という姿で寝るのだが、今日は我慢して長袖の下着も着たままで浴衣を着せることにした。

 下半身も面倒くさい。ズボンのベルトをはずし、サスペンダーを取り脱がせた後は、股引を脱がせる。

 更に面倒なのが「靴下の儀式」だ。外反母趾の進んでいる父は、日中には器具を指の間に挟み、靴下を3枚重ね履きしている。それらを脱がせてから、今度は寝る時用の器具を装着し包帯を巻き、薄手の靴下を履かさなければならない。

 部屋にはエアコンが2台と足元の電気ストーブがついており、脱ぎ着を手伝うだけで私は汗が吹き出る。

 飲み水の用意をし、テレビのリモコンをベッドに置き、身を横たえさせると、電気を消して私は家に戻った。

 戻りながら、困ったなー。明日のピアノは、どうなるかな~。

 そして翌日。本番当日。

 朝から実家に行き、昨日の着替えの逆の順で洋服を着せる。靴下の3枚重ね履きも完了してから、朝食を準備して食べさせる。(私は何も食べて来ていないんだけど)

 近くの整形外科に電話をして連れて行く。

 「どうしたんですか?」

 「本棚の一番上のを取ろうとして、回転椅子に乗っちゃったら落ちたんです。」

 「レントゲン撮りましょう」



 結果

 「骨折です。」

 ああ、やっちまったなー。

 またも私は ドタキャンか!?


                                       つづく

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  • 「やっちまったなー」第2弾

    Excerpt: 「前記事でご紹介した通り 右上腕部骨折をした父」は、幸いなことにズレていない軽い骨折だったため、三角巾と腰痛ベルトのようなマジックテープで留めるバンド状のもので固定するだけで処置は終わった。 Weblog: アンダンテに・・・ racked: 2013-12-20 23:39