息子の夏休み

 社会人になって3年目の息子は、お盆休みに 私の実家の父の様子を見に行ってくれた。

 4人いる孫の中で唯一の男の子である我が息子は、時々単独で呼び出されている。

 父いわく

 「親の育て方が悪いから、オレが教育してやる」
のだそうだ。

 ありがた迷惑な話だ。私だったら逃げたいところだが、心優しい息子は上手につきあってくれている。

 その息子が、お盆休みに引き続きの夏休みをとって旅行を計画したらしい。

 8月8日に いきなり 家族でグループを作るLineに書き込んだ。

 「この夏、17~22 カンボジアにボランティア兼観光旅行に行ってきます」

と!  このLine、娘夫婦と私たち夫婦と息子の5人で繋がっているが、息子からの発信は初めてだ。しかも、いつも私たちがLineで会話をしていても、読むだけで話に入ってこない息子が、自分からの発信!

 それが カンボジアだと!?

 しかもボランティア??

 え? もうすぐ出発じゃん!!

息子の発信に、一斉にツッコミが始まった。

 婿どのは、「気をつけてね」のひとことにまとめたが、

 母と姉である娘は、黙っていられない。

 病気に気をつけろだの、蚊にさされるなだの、胃腸薬、風邪薬、虫除け、日焼け止め、、あれ持ってけ、これ持ってけだの、水に気をつけろなどなど。。。

 ネガティブなことが 私を筆頭に、娘からも発せられる。

 あまりに、発言が悲壮感漂い、あ、これはちょっとかわいそうかな~と思い、

 「でも、きっと良い体験になるよね。感じるもの得るものありそうだね」
と、娘がフォロー、私も安心材料を送ってやらねばと慌てる。

 しばらく黙っていた夫からは、カンボジアの情勢、日本政府が出している危険地域マップ情報などのURLが書き込まれる。

 何を思ったのか、そういうことは昔から何も言わない息子だ。

 いつもひとりで決めてひとりで行動する。

 会社勤めをしているので、長い旅行には出られない。1年目も2年目も、9月に試験があったために夏休みも勉強に没頭していたが、今年は試験の心配は終わったらしい。やっと旅行に出られる休みが得られたというのに、なんでボランティアなのか? しかもカンボジア? 両親のいる中国を飛び越えて、カンボジア?

 私は、カンボジアに行ったことはないのだが、何か危険そうなイメージがある。アンコールワットを見てみたい気もするが、治安も心配なら衛生面も気になる。

 息子の話では、カンボジアの孤児と遊ぶボランティアだという。

 すぐに夫が「かものはしプロジェクト」のホームページを発見した。 子供を売られることのない世界を作るという目的で活動するプロジェクトだ。

 あれこれと心配をし、マイナス発言ばかりを投げかけた私だが、息子の意思を尊重し、短い期間でも意義のある旅行であって欲しいと願った。

 出発前日、息子は姉夫婦とマイケルの住む実家に行き、3人でお好み焼きを食べたようだ。婿どのは、チョコレートパンケーキを焼いてくれたらしい。 私たちを安心させるかのように、娘がそれらの写真を送ってくれた。



 そして・・・・

 帰国してすぐに 

 「無事に戻りました。めっちゃ楽しかった~」
とLineに書いてきた。


 カンボジアの子供との楽しそうなツーショット写真が添付されていた。

 ああ、こんな生き生きした顔の息子

 嬉しそうに息子に寄りかかるかわいい男の子

 それ以上の感想はまだ何も聞いていないが、この写真1枚を見ただけで、私の子育ては間違っていなかったと密かに思った私だ。


 この気持ち、私の父にはわかるまい。
 

 

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