白血病との闘いー後記ー

白血病になってしまったことは不幸なことでした。

病名を聞いた時、言葉を失いました。
今後の展開がわからないこともあり、重い病気のイメージしかなかったからです。

しかし私が知らなかっただけで、医学の進歩は素晴らしいです。
思った以上に患者数が多いことと、治療法は星の数ほどあることも知りました。

医学の力に加えて、妹の精神力の強さと真摯に病気に立ち向かう姿勢により、思った以上に早い回復力を見せてくれました。
そんな妹に、私は尊敬の念しかありません。

そして家族が心を一つにして病と向き合い、それを乗り越えたことは、言い方はおかしいかもしれませんが幸せに思います。

病気の原因はわかっていません。

私たちの体の中での変化は日々起こっています。
免疫力によって癌化することを防ぐ活動が体内で常に行われていると言われます。
その免疫力が落ちた時、私たちはガンを発病すると言われています。

悪性リンパ腫にかかってしまったフリーアナウンサーの報道を見た時、彼が発症前に「無理で無茶な生活をしていた」ことを知りました。
そのテレビは妹もたまたま観ていたそうで、寝不足や過労といったことに思い当たるものばかりだったと言っておりました。

人間は睡眠によってリセットされる能力があるそうですが、寝不足で無理を重ねれば、悪く変化した細胞がリセットされることなく体内で増殖してしまうのだそうです。

そのアナウンサーは睡眠時間2、3時間の日々を過ごしていたそうです。
様々な知識を得るために寝る間も惜しみ、活動していたそうです。
自分がやりたくてやっていたことなので、ちっともストレスだとは思っていなかったとも言っていました。

妹は、深夜に自分のやりたいことをやる習性がありました。
それは家族のことを優先させて、自分のことを後回しにする母に似ています。

もう15年以上も前のことになりますが、妹は某通信教育の英語の添削指導員をしていました。
在宅ででき、自分の持っている資格や知識を活用できるという、やり甲斐のある仕事でした。
妹に刺激を受けて、私も小論文添削指導員になりました。

在宅仕事のメリットとして、自分の好きな時間にできることは魅力的でした。
が、そこは仕事ですから締め切りもありますし、必ずしも楽なスケジュールでできるものではありませんでした。
私は、自分の仕事時間をきっちり確保しました。
締め切りに追われて忙しい時には、家族に家のことを任せて、自室にこもって仕事をするのは当たり前のこととしてやっていました。

妹は家族に迷惑をかけないよう、家族が寝静まった深夜に仕事をすることが多かったようです。

家族にわがままを言って自分の仕事を優先させるか、家族のことを第一に考えて自分の仕事を後回しにするか、姉妹の大きな違いがありました。


母が入院していた頃、私は自分が無理をすることは避け、家族の食事を作らず各自に任せたり、大学生だった娘に食事の支度を任せて母の病院に通っていました。
妹は私よりもっと遠くから母の病院に通いながらも、家族のための食事はいつもきちんと用意してから出てきていました。

妹は自分が我慢しているとか、無理をしているという実感もあまりないままに、人のために奉仕することを厭わず、知らぬうちに無理を重ねていたように思います。

義父様亡き後、病気持ちの義母様のお世話に遠くまで通っていました。
その折に、実家の父も転んだりひっくり返ったりして、妹が呼ばれることが増えていました。
長女である私が2014年から中国に住むようになり、父の頼る相手は妹しかいなくなりました。
たまに、私の子供たちが相手になったとしても、いざという時の頼みの綱は妹だけでした。

義母様の家までは遠足以上の距離で、そこに行くだけでも、どれだけしんどいかわかりません。
その帰り際に、父からの連絡で家に寄って欲しいと言われ、胃腸薬一つ買うためだけに呼びつけられるような日もありました。
帰り道の途上に実家があるわけではなく、わざわざ違う路線に乗り換えて行かなければならないのに、妹は躊躇なく良い返事をしてしまいます。

妹は、そんな日々でも、家族のための食事の用意をしてから出かけるのを当然と思っていました。
深夜に自分の時間を作る習慣も変わらず、パソコンからメールされてくる時間を見ると、誰もが寝ているような時刻だということもよくありました。

父は施設に入る前に何度も大きな怪我をしています。
父からの電話で実家に行ってみれば、血だらけでベッドに横たわっていたこともありましたし、救急車で運ばれて急に病院から呼び出しをされたこともありました。

義母様を施設に入れ、実家の父も施設に入れるということは、言葉にすると簡単そうですが、施設を探すところから諸手続き、引っ越しと、驚くほど煩雑な事務手続きもあったはずです。
それらをひとりでやってくれました。

想定外のことまで含めて、すべて妹が処理してくれました。

私は、たまに帰国しても知らん顔でしたから、本当に申し訳ないことをしたと思っています。

でも、本当に申し訳ないと思って欲しいのは父です。

父よ!あなたが妹を病気に追い込んだのです。

私が日本に住んでいた頃は、私が父の世話をすることが多くありました。
実家に行く時間が5分でも遅れたら、それはそれは激怒するし、病院に連れて行っても医者を怒鳴るし、普通に高齢者をお世話するエネルギーの数十倍はパワーを必要とします。

父のやっていることを否定すれば大変なことになりますから、おかしなことでも黙って従わねばなりません。
胃腸薬一つを買うことくらいヘルパーに頼めば良いと言っても、それは聞き入れられません。
介護認定を受けるまでも、とても長い時間がかかりました。
そもそも介護保険制度は娘が親を観たくないからできた制度だ、と言って撥ね退ける人でした。

妹の負担の大きさは時間を取られるということ以上に、面倒臭い人の相手をしなければならない労力、心の負担にあったと思います。

父のどうでもいいような呼び出しに「ノー」と言えないのは、妹の性格だということもありますが、ある意味、私たち姉妹は父から洗脳されているのだと思います。
父の思う通りにしなければならない運命にあると信じ込まされているのだと思います。

あれだけ父に怒鳴られて育ち、父のことが大の苦手の私ですが、それでも父の世話をしてきました。
自分の意思に反して父の世話をしてきた私のことを見ていた妹ですから、
「お姉さんがあれだけやってくれていたんだから、今度は自分がやる番」
と言って、無茶を聞き、無理を重ねてダブル介護を続けていたのだと思います。


それならば、私が日本にいて父の世話をしていたら、妹は病気にならずに済み、私が病気になっていたか?というと、それは否です。

妹は病気にならなかったかもしれませんが、私も病気にはならなかったでしょう。
なぜなら、私は無理を無理と感じて、どこかで発散していたからです。
家族に八つ当たりして、家族に甘えて、家族のことを後回しにして、自分の家のことは何もしなかっただろうと思います。

ストレスがかかることがあったとしても、それをどこかで発散できれば病気にならないように思います。

妹はたぶん、ストレスを受けていることすら気がつかなかったと思います。
妹は自分が相当に無理をしていることなど思ったこともないのだと思います。

今までの日常を普通に保ちながら、その上に介護という大きな負担がのしかかり、妹を極限まで疲労させていたと思いますが、疲れた日、嫌な思いをしてきた日、妹は深夜に録画番組を見たり、自分の至福の時間を持つことでバランスを保とうとしていたのかもしれません。

そういうことの積み重ねが、妹を病気にしたと思っています。

それらが積もり積もると、体は悲鳴をあげるのです。

家族というものは、時には大きな負担にもなり、病気の原因にもなり得るのです。

だけど、こうして妹が治療を終えて退院できたのも、また家族のおかげだと思っています。

今回の白血病との闘いシリーズを書くにあたり、テーマとして「家族」を入れたのは、そのような意味があってのことでした。

脈々と受け継がれていく家族の血というものは、時には残酷さもあり、時には大きなエネルギーも与え、逆らえないだけに辛い思いもあれば、守ってくれる掛け替えのないものでもあるとしみじみ思いました。

妹の病気が ひと段落してみれば、私がこれから考えていきたい内容、書いてみたいテーマが見つかった気がしています。

それは「家族」です。

今年もまた家族について深く考える1年になりそうです。

まとまりが悪いですが、これでシリーズを終了させていただきます。

後記までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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