白血病との闘い(20)クリーンルームに入院(10月某日)
赤ちゃんと過ごした3時間ほどでパワーをチャージした妹は、10月某日、Sちゃんに送ってもらって入院した。
(移植に関してはネットで出せない情報もあるため、曖昧な記述になる部分があります。)
いよいよ移植のための入院生活が始まる。以前の退院前に体験したクリーンルームでの日々の始まりだ。
まずは、移植前の準備からだ。
首からカテーテルを入れる。これが移植のルートになる。動脈に穴が開かないようエコーで見ながら挿入し、レントゲンで血管内にカテーテルがきちんと入っているかを確認し、無事に終了した。多少の麻酔はかけられるものの、穴を開けてそこを縫うというのだから、それだけでも私なら気が滅入る。妹は、ちょっとチクっとしただけで終わったと、いとも簡単に言っていた。
こんな時にも、父からの電話が入ったようだった。
妹の入院を前に、妹の病状を手紙にして私から父に送ってあった。父は耳が遠く、電話でも普通の会話でも聞き取れないくせに適当に返事をしてしまうので、文字できちんと書いて理解してもらう作戦だった。クリーンルームに入って移植ともなれば電話に出られないだろうから、妹には電話をしないで欲しいことを願ったのが父の逆鱗に触れたようだった。相変わらず感情に任せて、怒りの電話を患者本人にかけてしまうあたり、人間のクズだと思う。
妹は、自分の娘たちや赤ちゃんとの幸せな時間を思うと、「これが家族なんだと思う」と言っていた。「我々が育った環境は家族ではなかった」とも言っていた。
どういう状況にあっても、自分のことしか考えられない父、怒鳴ることしかできない父に、私は諦めと蔑みしか感じなかった。
(父の人間性になると話は止まらないので、このくらいにしておく)
クリーンルームで移植前に行われる治療は、妹の体内にある悪い血液を叩き出すための抗がん剤、放射線照射だ。できるだけ悪いものを排除したところに、ドナーからの提供を受けることが効果的だということだ。今まで以上に強い抗がん剤治療になると思う。たぶん、副作用がきついものと思われ、先に抗けいれん薬、吐き気どめが点滴で入れられる。それだけで、どんな副作用が出るのだろうか?と気持ちで負けそうに思うが、妹はなんともなかったと言っていた。少し食欲が落ちている気がしたようだが、食べ始めれば食事は全て食べられるとのことで、体力維持のためにもきちんと食事を摂っているようだった。
妹は「嵐」のファンクラブに入っている。本当は、ドームコンサートのチケットが当たっていて見に行けることを楽しみにしていた。それが病気発症で泣く泣くキャンセルするしかなく、一緒に行くはずのSちゃんがひとりで行くことになっていた。せめても、と、Sちゃんが用意してくれた「嵐」のBlu-rayを病室で見入っているようだった。今までの4人部屋と違って個室なので、思いっきり楽しんでいるようだった。
特別に好きなものがあるというのは、こういう時に強みになる。私には、そこまで熱中できる対象がいない。そんな話を妹としていたら、「今からでも好きなものを見つければいいじゃない」と言われ、嵐の良さを熱く語ってくれた。私も嵐は好きだし、ジャニーズ系に興味はあるけれど、そこまで熱中したことはない。これは性格の違いなのかな、と思う。
移植前の抗がん剤治療も放射線照射も、きっと体にダメージは大きいはずだ。倦怠感などもあるのだろうが、妹は常に気丈だった。
クリーンルームに入っている間、家族とてガラス越しにしか対面できないわけで、移植をした後には、どのような拒絶反応が起こるのかもわからない状況で、私には何もできない。
そんなこともあり、移植前の妹に会うこともないまま、私は深センに戻った。
(移植に関してはネットで出せない情報もあるため、曖昧な記述になる部分があります。)
いよいよ移植のための入院生活が始まる。以前の退院前に体験したクリーンルームでの日々の始まりだ。
まずは、移植前の準備からだ。
首からカテーテルを入れる。これが移植のルートになる。動脈に穴が開かないようエコーで見ながら挿入し、レントゲンで血管内にカテーテルがきちんと入っているかを確認し、無事に終了した。多少の麻酔はかけられるものの、穴を開けてそこを縫うというのだから、それだけでも私なら気が滅入る。妹は、ちょっとチクっとしただけで終わったと、いとも簡単に言っていた。
こんな時にも、父からの電話が入ったようだった。
妹の入院を前に、妹の病状を手紙にして私から父に送ってあった。父は耳が遠く、電話でも普通の会話でも聞き取れないくせに適当に返事をしてしまうので、文字できちんと書いて理解してもらう作戦だった。クリーンルームに入って移植ともなれば電話に出られないだろうから、妹には電話をしないで欲しいことを願ったのが父の逆鱗に触れたようだった。相変わらず感情に任せて、怒りの電話を患者本人にかけてしまうあたり、人間のクズだと思う。
妹は、自分の娘たちや赤ちゃんとの幸せな時間を思うと、「これが家族なんだと思う」と言っていた。「我々が育った環境は家族ではなかった」とも言っていた。
どういう状況にあっても、自分のことしか考えられない父、怒鳴ることしかできない父に、私は諦めと蔑みしか感じなかった。
(父の人間性になると話は止まらないので、このくらいにしておく)
クリーンルームで移植前に行われる治療は、妹の体内にある悪い血液を叩き出すための抗がん剤、放射線照射だ。できるだけ悪いものを排除したところに、ドナーからの提供を受けることが効果的だということだ。今まで以上に強い抗がん剤治療になると思う。たぶん、副作用がきついものと思われ、先に抗けいれん薬、吐き気どめが点滴で入れられる。それだけで、どんな副作用が出るのだろうか?と気持ちで負けそうに思うが、妹はなんともなかったと言っていた。少し食欲が落ちている気がしたようだが、食べ始めれば食事は全て食べられるとのことで、体力維持のためにもきちんと食事を摂っているようだった。
妹は「嵐」のファンクラブに入っている。本当は、ドームコンサートのチケットが当たっていて見に行けることを楽しみにしていた。それが病気発症で泣く泣くキャンセルするしかなく、一緒に行くはずのSちゃんがひとりで行くことになっていた。せめても、と、Sちゃんが用意してくれた「嵐」のBlu-rayを病室で見入っているようだった。今までの4人部屋と違って個室なので、思いっきり楽しんでいるようだった。
特別に好きなものがあるというのは、こういう時に強みになる。私には、そこまで熱中できる対象がいない。そんな話を妹としていたら、「今からでも好きなものを見つければいいじゃない」と言われ、嵐の良さを熱く語ってくれた。私も嵐は好きだし、ジャニーズ系に興味はあるけれど、そこまで熱中したことはない。これは性格の違いなのかな、と思う。
移植前の抗がん剤治療も放射線照射も、きっと体にダメージは大きいはずだ。倦怠感などもあるのだろうが、妹は常に気丈だった。
クリーンルームに入っている間、家族とてガラス越しにしか対面できないわけで、移植をした後には、どのような拒絶反応が起こるのかもわからない状況で、私には何もできない。
そんなこともあり、移植前の妹に会うこともないまま、私は深センに戻った。