白血病との闘い(19)赤ちゃんのパワー
10月5日に、私の所属する合唱団の定期演奏会があった。
妹からも姪っ子のCちゃんからも、
「ユーママは合唱の練習を優先させて演奏会には必ず出て欲しい」
と言われていたので、私は自分の都合を一番に考えさせてもらい、演奏会に出ることができた。
おかげで当日は楽しく歌うことができた。終演後の打ち上げも、二次会も三次会までもカメラマンとして帰国していた夫と一緒に参加し、6日に日付が変わってからの帰宅だった。演奏会には我が家の娘夫婦と息子も来てくれたが、毎年必ず来てくれていた妹がいなかったのは少し寂しく残念だった。夫が撮ったビデオを編集してDVDにしたら、一番に送るつもりでいる。
妹の入院が迫っている。今度の入院は移植準備から、移植、そして拒絶反応や合併症との闘いが待っている。期間は今までの入院よりずっと長くなる。
その前に、もう1度、妹は赤ちゃんと対面したくて、自分で車を運転してCちゃんのところに行きたいと言い出した。が、それはあまりに距離があり、周囲が反対することとなった。確かに見た目では元気でなんら問題なく見えるが、やはり体力は落ちているだろうし、ここで無理をして移植に悪い影響が出てもいけないから旦那さんが反対するのも理解できる。
旦那さんが週末に車で連れて行くと提案してくれたようだが、妹は
「違うのよね。なんにもわかってない」
と、つぶやいていた。
妹にしてみれば、出産後のCちゃんと話すこともできなかったし、男子禁制の女子トークがしたいのだろうと思う。(赤ちゃんは男子だけど)
なんとか入院前に赤ちゃんとの対面ができないものか、私は実現させてあげたいと思案した。深センに戻る前の夫をつかまえて、妹の家に迎えに行って一緒にCちゃんの家に行って欲しいと頼んでみた。ノリの良い夫は、ふたつ返事で引き受けてくれた。うちには車がないので、まずはレンタカーを予約し、妹とSちゃんの都合も合わせてもらって、10月7日に決行した。
妹は歯医者の予約が入っていたため、最初は、残念だけど諦めると言った。いやいや、歯医者にお昼前に迎えに行くから、と強制的に話を進めた。歯医者の診療が終わる頃を見計らって歯医者の近くまで行き、そこにSちゃんにも来てもらって4人でスタートした。
Cちゃんの家まで2時間弱だっただろうか、ドライブ日和で楽しい道中だった。
Cちゃんには事前に相談してあった。
「ユーママ素敵な計画をありがとう」
と喜んでもらっていた。もちろん、妹にもSちゃんにも感謝された。
Cちゃんの家で女子トークを楽しんでもらっている間、夫と私は近隣でランチをし、少しあちこち出かけて3時間ほどでCちゃんの家に戻った。
妹は娘たちと楽しい女子会をし、表情豊かな赤ちゃんとの対面もたっぷりできて嬉しそうだった。
まだまだ帰りたくないようだったが、妹の家まで送り届けて方向違いの我々の方面に車を返しに行く(レンタカーのタイムリミットもある)ことを思うと、夕方にはCちゃんの家を後にせねばならなかった。妹の家に着いたときには、すっかり真っ暗になっていたが、妹が何度もお礼を言ってくれて、その顔色が輝いていたことを思うと、私たちも嬉しく思う。
あとで、Sちゃんが撮ったたくさんの写真を送ってくれて、妹の喜びの様子をたっぷり見ることができ、実行して良かったと心から思った。
その数日後に、妹は最後の入院をした。
あのガラス張りのクリーンルームでの日々が始まる。
妹からも姪っ子のCちゃんからも、
「ユーママは合唱の練習を優先させて演奏会には必ず出て欲しい」
と言われていたので、私は自分の都合を一番に考えさせてもらい、演奏会に出ることができた。
おかげで当日は楽しく歌うことができた。終演後の打ち上げも、二次会も三次会までもカメラマンとして帰国していた夫と一緒に参加し、6日に日付が変わってからの帰宅だった。演奏会には我が家の娘夫婦と息子も来てくれたが、毎年必ず来てくれていた妹がいなかったのは少し寂しく残念だった。夫が撮ったビデオを編集してDVDにしたら、一番に送るつもりでいる。
妹の入院が迫っている。今度の入院は移植準備から、移植、そして拒絶反応や合併症との闘いが待っている。期間は今までの入院よりずっと長くなる。
その前に、もう1度、妹は赤ちゃんと対面したくて、自分で車を運転してCちゃんのところに行きたいと言い出した。が、それはあまりに距離があり、周囲が反対することとなった。確かに見た目では元気でなんら問題なく見えるが、やはり体力は落ちているだろうし、ここで無理をして移植に悪い影響が出てもいけないから旦那さんが反対するのも理解できる。
旦那さんが週末に車で連れて行くと提案してくれたようだが、妹は
「違うのよね。なんにもわかってない」
と、つぶやいていた。
妹にしてみれば、出産後のCちゃんと話すこともできなかったし、男子禁制の女子トークがしたいのだろうと思う。(赤ちゃんは男子だけど)
なんとか入院前に赤ちゃんとの対面ができないものか、私は実現させてあげたいと思案した。深センに戻る前の夫をつかまえて、妹の家に迎えに行って一緒にCちゃんの家に行って欲しいと頼んでみた。ノリの良い夫は、ふたつ返事で引き受けてくれた。うちには車がないので、まずはレンタカーを予約し、妹とSちゃんの都合も合わせてもらって、10月7日に決行した。
妹は歯医者の予約が入っていたため、最初は、残念だけど諦めると言った。いやいや、歯医者にお昼前に迎えに行くから、と強制的に話を進めた。歯医者の診療が終わる頃を見計らって歯医者の近くまで行き、そこにSちゃんにも来てもらって4人でスタートした。
Cちゃんの家まで2時間弱だっただろうか、ドライブ日和で楽しい道中だった。
Cちゃんには事前に相談してあった。
「ユーママ素敵な計画をありがとう」
と喜んでもらっていた。もちろん、妹にもSちゃんにも感謝された。
Cちゃんの家で女子トークを楽しんでもらっている間、夫と私は近隣でランチをし、少しあちこち出かけて3時間ほどでCちゃんの家に戻った。
妹は娘たちと楽しい女子会をし、表情豊かな赤ちゃんとの対面もたっぷりできて嬉しそうだった。
まだまだ帰りたくないようだったが、妹の家まで送り届けて方向違いの我々の方面に車を返しに行く(レンタカーのタイムリミットもある)ことを思うと、夕方にはCちゃんの家を後にせねばならなかった。妹の家に着いたときには、すっかり真っ暗になっていたが、妹が何度もお礼を言ってくれて、その顔色が輝いていたことを思うと、私たちも嬉しく思う。
あとで、Sちゃんが撮ったたくさんの写真を送ってくれて、妹の喜びの様子をたっぷり見ることができ、実行して良かったと心から思った。
その数日後に、妹は最後の入院をした。
あのガラス張りのクリーンルームでの日々が始まる。