白血病との闘い(9)第2クール(5/14〜6/14)

初めての一時退院は1週間の予定だった。

が、最初から微熱程度があった状態で退院した妹は、自宅でほとんど安静にしていたにも関わらず熱を出した。

5月11日に退院したばかりだったが、13日に38度台の熱が出て病院に連絡している。解熱剤を使ったものの、夜になっても38度の熱があったため

翌14日、入院準備をして病院に舞い戻った。まずは外来で診察を受けるが、白血球が増えCRP(炎症反応)が高かったので感染症が疑われた。

再入院となり、抗生剤と抗がん剤の治療が始まった。

この時の感染症の疑いは、たぶん自分がすでに持っていた菌ではないかという話だった。

17日に骨髄検査があった。
「全然痛くなかったわ」
という感想がLINEで送られてきた。いやいや、痛いに決まっているじゃん、と私は想像するだけで体がムズムズした。

検査を受けて、医者から今後の治療についての説明があった。妹ひとりでは心許ないので、旦那さんが同席した。

まず前回の1クール目の抗がん剤治療でほぼ寛解だったことを告げられた。
これからは、地固め療法として、抗がん剤キロサイドを大量に1日おきに何度か入れる。副作用で考えられる結膜炎を予防するために、目薬をさすことになるらしい。抗がん剤治療の後は、また白血球が増えてくるのを待つ。
この治療は1ヶ月の予定で、状態が良ければまた一時退院になるという。今度の一時退院は2週間ほどできるらしい。

今、問題は血小板が多いことらしい。もともと骨髄増殖性疾患があり、そこから白血病になることもあるという話だった。(後にこの病気の疑いは晴れた)

急性単球性白血病の場合は、最終的には骨髄移植が必要と考えられるという説明だった。

前にも述べたように、私は年齢的に倫理委員会に引っかかるとのことで提供者になれない。妊婦もダメなので次女のCちゃんも提供者になれない。繊細なSちゃんひとりに負担がかかることは妹の不安でもあり、家のことや自分の世話の頼みの綱でもあるSちゃんに無理はさせたくないという気持ちも大きかった。

私も人の親。我が子を痛い目に合わせたり、リスクを負わせたくはない。一家の主婦が重い病気になると、家のことが急に他の家族の肩にのしかかる。それでなくても深刻な病気に家族は動揺している時だ。これ以上の負担を家族が担うのは、家族共倒れになる危うさもはらんでいる。

看護師のCちゃんの言葉
「提供してくれるという人は善意でドナー登録をしてくれているのだから、利用させてもらっていいのよ」
に背中を押され、励まされ、妹は自分の気持ちを整理していったようだった。

同室のおひとりの方も、骨髄バンクでドナーを見つけてもらっているらしい。
家族が病気になった時、残る家族はできるだけのことをしたいと思うのは当然の心理ながら、家のこと患者を見舞うことが日常の中に加わるわけだから、きれいごとだけでは話は進まない。ドナー登録制度があり、積極的に提供してくれる善意の人々がいらっしゃるのだから、病人も家族もそこに救いを求めても、なんら心苦しいこともないと思う。

妹も悩み、家族と話し合い、時間をかけて決めていくのだと思う。
患者というのはのんびりと寝ていれば良いわけではなく、自分で決断することも多いのだな、と私は傍観しながら考えさせられていた。



第2クールの抗がん剤治療は20日から、キロサイドの点滴が始まる。点滴ルート確保をするため、エコーで見ながら右上腕部からカテーテルを入れる。
最後の縫合の場面でも
「痛くないです」
と言って、ドクターを驚かせたらしい。

別に痛みを我慢しているわけじゃなく、本当に鈍感なのよね、と妹は言ってのけたが、私なら・・・無理だな〜と思う。
上腕部にカテーテルを入れたことで肘が曲げられるようになって楽になったとも言っていた。あくまでもポジティブな人だと感心する。

娘2人とのLINEで料理の話などをしたり、楽しい時間を過ごすことも退屈な入院生活のアクセントになっている。

また、たびたびお見舞いに来てくれる長女のSちゃんが、妹の好きなアイスやお菓子を買ってきてくれるのも楽しみにしている。昼食を完食した後、Sちゃんが買ってきてくれた抹茶ソフトを食べちゃった〜と嬉しそうに報告してくれる。

結婚記念日を病室で迎えた妹だが、旦那さんが一緒に食べようと思ってケーキを買ってきてくれたと言っていた。
見舞いに行く家族は、しっかり手洗いをし消毒をしてマスク着用で入室しているので、病室では飲食禁止だ。(マスクを外せない)
Sちゃんや、旦那さんが差し入れてくれたものを、妹は彼らに見せびらかすようにひとりで食べることになる。結婚記念日のケーキは、妹1人で病室で食べ、旦那さんは別のサロンルームで寂しく食べたらしい。来年は、きっと一緒に食べられるね、と思いながら、ひとりでケーキを食べる旦那さんを想像して、私はちょっと笑えてちょっと切なかった。

22日、医者から副作用を心配され
「気持ちが悪いとか、めまいのようなフラッとする状態になっていないか?」
と、訊かれたが、何もないと答えている。
あまりに副作用を感じないために、抗がん剤が効力を発揮していないのか?かえって不安になっちゃうと言っていた。

抗がん剤が効いて白血球が落ちれば熱が出るというパターンなので、そのうち熱が出るでしょ、と言っていたら、25日に38度台の熱が出て抗生剤投与。

妹は治療の流れとその影響で起こる体内の変化に詳しくなり、ある程度の予測と覚悟ができているようだった。

こういう状況でありながらも、妹と私のLINEでの会話内容は、今季のドラマの話だったり、妹が好きな嵐の話だったり、時には父の話など、文字のやりとりだけながら、1、2時間はおしゃべり状態が続く。

いつも前向きな優等生的な話ばかりが出るので、

「嫌なこととか、愚痴を吐き出していいのよ」
と、言うが、妹は本当に痛くもないし気分悪くもないし熱にも強い体質だから大丈夫と言う。

そんな妹が長期の入院中に、1度だけ愚痴をこぼしたことがあった。それが5月27日だった。今、12月半ば過ぎだが、4月の入院から現在に至るまでの間で、妹が愚痴らしいことを言ったのは、たったの1度。この日だけだった。同室の方々がそれぞれに具合が悪かったようで、その物音などで眠れなかったという愚痴、それ1度きりだった。

この人は、どうしてこんなにも大らかにいられるのだろう、と私は不思議でならない。そういえば、母も長い闘病生活の中で、ほとんど愚痴をこぼさない人だった。

私から見れば明らかに「我慢」「忍耐」と思われることを、妹は
「何も我慢してないよ」
という。

そういう人が大きな病気を抱えてしまうのかもしれない。

父は、娘の大きな病気をどれほど理解しているのかわからないが、時々、入院中の妹に電話をかけてくる。

「夏物の衣類は、ヘルパーさんに出してもらったから大丈夫だ」
と、どうでもいいようなことを報告してくる。

私なら耐えられないと思う。

「ねえ、電話しないでって言えば」
と妹に言うと、

「そうすると、うちにかけてきちゃうから。Sちゃんや旦那さんが困るじゃない」
と、さらっと言って退ける。

どこまでも心優しい人だと思う。父のDNAをたっぷり受け継いだ心優しくない私には到底できない我慢だが、妹は我慢とは思っていない。


そうこうするうち、14日の再入院から1ヶ月。6月14日に妹は一時退院をした。

退院時の説明では、あと2度ほどの地固め療法を行ったのち、移植の方向で準備を進めるということを聞いたようだ。

退院の日、6月14日は旦那さんの誕生日だったが、夕食を旦那さんが作ってくれて祝ったそうだ。
(旦那さんは、シェフとあだ名がつくほど料理が上手で、羨ましい限りだ)

妹が退院してきたことが、何よりのプレゼントになったことと思う。







(リニューアル以来ブログを書かずにいましたが、久しぶりに書いてみて、やはり書きにくい。文字列の調整が難しく、句読点やカギカッコが文頭にくるなど気に入らないことだらけですが、編集してもうまくいかないので妥協して投稿しております。読みにくいところをご訪問くださり、ありがとうございます)

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