・・・様への手紙

 あんぽんたん女子さま

 深センは毎日のように雷雨が続き、湿度も高くなってまいりましたが、お変わりございませんでしょうか?

 5年前に私が中国に来る時から、あんぽんたん女子様にはとてもお世話になりました。
あの時、あんぽんたん女子様が説明してくださった通りに、私どもは書類を準備し、在日中国大使館にも出向きました。そのおかげもあって、私たちは5年もの間、安穏と生活することができております。
 毎年行う居留許可申請がいつも何の問題もなく更新できましたのも、すべてあんぽんたん女子様のおかげでございます。
まさか、最初から使っていた書類に不備があったなど、私たちは知る由もございません。今回の6年目の更新で、見事に私だけが撥ね退けられ申請ができなかったことで初めてその事実を知ることとなりました。
あんぽんたん女子様にも、おわかりになっていなかったのですから、それは仕方ないです。
もちろんあんぽんたん女子様を責めるだなんて、滅相もない!
だって今まで、その書類でも認めてもらえていたのですもの、今回もてっきり同じようにクリアすると思って、誰も疑いませんものね。

 でも、実際には却下されてしまいました。不運だったのでしょう。私に運がなかったのでしょう。そういうことなのでしょう。あんぽんたん女子様は、ちっとも悪くないです。気になさらないでくださいましね。

 私は2週間に1度、香港に出て再入国をするというno visa観光者になりました。

 これは、ふだん引きこもってばかりで体を動かそうともしない私へのあんぽんたん女子様からの温かい思いやりと受け止め感謝しております。
血圧やら肥満などを心配しなければならない年齢の私にあんぽんたん女子様が特別なエクササイズとしてスケジューリングしてくださったのですね。ありがたいことで感謝するばかりです。

 出入国に関しては、居留許可証がないために自動ゲートが使えなくなりましたので、用紙に必要事項を書き、有人ゲートに並ぶのは面倒なことですけどね。並べば良いだけですもの、私は気にしておりませんことよ。

外国人対応のイミグレーションゲートは、平日というのに長蛇の列で、とくに一人一人に丁寧な対応をする素敵な女性係官のお陰で、その列は遅々として進みませんでした。私は度々時計を見ながら、心拍数の上がるのを自覚しながらあんぽんたん女子様の美しい顔が浮かんでは消え、消えては浮かびましたが、他意はございませんことよ。もちろん感謝しかございませんから。

 なーに30分なんて、私の長い人生からみれば、屁でもございません。あら、ついお下品なワードが飛び出てしまいましたが、ちっとも苦痛ではございませんしあんぽんたん女子様のせいでもなんでもございませんもの、これもエクササイズと思って耐えますから大丈夫です。
足の痛みも、帰ってからアイシングすれば済むことです。どうぞお気になさらないでくださいましね。

心拍数の高まりは生きている証、私を励ます銅鑼だと思えば、どうってことありません。新しいタイプのワクワク感を教えてくださったあんぽんたん女子様には感謝しかございません。

 出入国の事実を作るだけで良いのですから、香港側に入ってすぐにUターンで深センに戻ることもできますが、せっかくですので香港で買い物をして戻ろうと思います。
そういう意味でも、ホント、2週に1度の良い機会をお与えいただいたとあんぽんたん女子様には感謝しております。

 本日は一番近いところを目指し、屯門に行くバスに乗りました。と申しますのも、本日は暴雨注意報が出ておりましたものね。香港中心部まで行くのは無謀だと考えました。
たとえ暴風雨吹き荒れようが、槍が降ろうが、超ド級の台風が襲来しようが、私は2週間に1度はイミグレ通過を実行しなければなりませんから、たかが暴雨くらいで怯んではいられません。私にこんな強い意志を持たせてくださったあんぽんたん女子様には感謝しかございませんことよ。

香港では、長者八達通のおかげで、たったの2ドルでバスに乗れますから、どうぞご安心くださいませね。たいした金額ではありませんもの、自腹を切ったってどうってことないです。

 屯門では2軒のスーパーをはしごしましたが、元々どうしても買いたいものがあったわけでもなく、本当に欲しいと思うものは持ち運びを考えてやめました。イミグレで厄介なことになっても、時が時だけに怖いでございましょ。中国に持ち込み禁止のものがカゴに入っていないかを慎重に確認しながらのお買い物でした。

 ふだん重い荷物を私は持ったことがありませんので、洗濯用柔軟剤は2本でお得というセットではなく、1本売りの高い品を選びましたから、全然問題ありません。
それでもエコバッグの持ち手が腕に食い込みますけど、アザになるほどではないでしょうから、気になさらないでくださいね。
2軒目のスーパーで会計をしている時に、外が大雨であることに気付きました。
やはり天気予報は、当たりましたね。でも安心してくださいね。深セン湾口岸行きのバス停まで濡れずに通れるルートなら、私は存じております。
30分に1本のバスが、たとえ時間通りに来なくて30分以上待たされるなんてことも、気にしないでくださいね。濡れない場所ですし、待つことは慣れています。ご心配は無用です。

 バスに乗ってしまえば、雨だって風だって怖くありません。

幸い、深セン湾のバス降車場からイミグレーションの建物までは屋根がついていますからね、そんなには濡れませんでした。

 深セン湾のイミグレーションでは、また用紙を持って外国人用の有人ゲートに並びました。ラッキーなことに2つのゲートが開いていましたから行く時よりは列が短くて助かりました。

私の前の女性は、明らかに顔立ちも顔色もアジア圏の人とは違う外国の方でした。夫から、並ぶ列を選ぶようにと、よく言われていましたが、隣の列には、いかにもいかにもな男性が二人並んでいたので、女性の方を選びました。
でも失敗でした。見た目で判断できないものですね。
その女性は何度も指紋をかざしているのに、読み取れず、公安の係官が立ち上がって大声で
 「Your left hand!!」
と、怒って言う始末で、それでも女性は押し方がわからないんだかなんだか、指紋がないんだかなんだか!? 時間がかかっていまして、隣のレーンの3人に抜かされました。

良いのですよ、私はどうせ急ぎはしませんから、多少イラっとは致しましたが、それは私の修行が足りないだけです。どうぞお気になさらないでくださいましね。

そして、私の番になると、
「no visaか」
と睨みつけるように言われましたが、たぶん、彼の顔そのものがそういう造りでいらっしゃるのでしょうから、私は全然平気でした。
「ええ、no visaよ。それがなにか?」
という調子でお答えしましたので、ご安心くださいませね。
こんなことくらい、ちっともストレスにも感じませんし、ましてやあんぽんたん女子様のせいで、この状況になっていることだなんて、全く思ってもおりません。どうぞお気になさらないでくださいましね。
私は左手4本指の指紋読み取りがスムースにできましたので、順調に通過できました。

 深セン湾からはバスで帰宅しますが、なぜに深セン側は屋根もなく雨ざらしなのでしょう。
もちろんあんぽんたん女子様には、なんの関係もございません。
雨の日の外出を滅多にしない私に、このスケジュールは私への試練かしら?修行のチャンスなのかしら?と、ふっと思っただけですので、気になさらないでくださいましね。
あんぽんたん女子様の計画する「yu_mama改造プロジェクト」の一貫かしらと、ちょっと思ったりしましたが、それでしたら感謝すべきことですわね。

水はけが悪いのか雨量が多いのか存じませんが、バス停で少し待つだけでも、もう何がなんだかわからないびしょ濡れ感がありました。
いえ、きっと気のせいです。

私の方面のバスは出たばかりでしたので、少し遠いバス停から歩く覚悟で、違うナンバーのバスに乗りました。

 目的地に着いた時、たぶん本日一番の激しい雨のタイミングでした。
大丈夫ですよ、私は日本製のコンパクトな折り畳み傘をすでにびしょびしょのまま持っておりましたからね。今さら激しい雨を怖がることなどございませんから、ご心配は無用ですよ。

 バスから降りた足元が大きな湖のようでしたが、すでに濡れているサンダルですもの、大丈夫ですってば。
日本でオーダーしてきた3万円近くするサンダルですけど、どうぞ気になさらないでくださいね。革は水に強いそうです。

 家に着いて、両肩に提げた荷物の入ったバッグを置くやいなや、シャワールームに直行です。少しひらひらしたチュニックを着ていたのが失敗でした。ビッショビショで、パンツも太もも、ふくらはぎにペットリ張り付くほどに濡れておりました。

 ご心配は要りません。亜熱帯地域のこの時期ですもの。風邪引くような寒さはありませんから、まったく問題はありませんでした。すぐにシャワーを浴びて、さっぱりいたしましたから、ご安心くださいませね。

 それより何より、こうして雨の激しい中、重たい荷物をひとりで持って香港までわざわざ、買いたいものもないのに出かけるチャンスをくださったあんぽんたん女子様には、感謝しかございません。
こうして私の経験値が上がり、引きこもりの予定の1日が行動的な日に変わったのは、あんぽんたん女子様のおかげ以外の何物でもございません。感謝しても感謝しきれないほどです。

家を出発してから戻るまで4時間ほどでした。この時間があれば、私はピアノの練習や歌の練習ができたな~なんていうことは思いませんことよ。
体を動かすチャンスをくださったあんぽんたん女子様には、 心より御礼申し上げます。

深センは、これから暑さもますます厳しくなりますが、あんぽんたん女子様には体調など崩されませんようお祈り申し上げます。
                                                                                                             かしこ










 翻訳のヒント) 

  感謝→憎悪
  気にしない → 気にしろ!
  心配無用  → 心配しろ!
   安心して → 反省して

この記事へのコメント

カラス
2019年04月20日 14:12
「a ghost story」❓
yu_mama
2019年04月21日 01:14
カラスさま
私、その映画は観ていませんが、調べたら「手紙」が出てくるのですね。
私が死んだら、この手紙を本人が読むことになったりして・・・。怖っ!

面白ネタとして読み飛ばしていただければ幸いです。
2019年04月21日 06:32
読み飛ばしました
2019年04月21日 14:48
ユーママさん、これって遺言みたいなお手紙ですね。
yu_mama
2019年04月21日 16:02
seizi05さま

 長文の読み飛ばし、ありがとうございます。
yu_mama
2019年04月21日 16:04
パックさま

 笑っていただければ、それでオーケーでして
 遺言という感想も、また面白いです。
2019年04月21日 20:02
ご自身をこれだけクールに分析できるyu_mamaさん。
お腹の中で泣いていらっしゃいましたか?
とても楽しい方ですてき!
大好きになりそうですがよろしいでしょうか?
あぁ楽しかった~
2019年04月21日 20:59
何と申し上げてよいのやら。
素晴らしい体験でしたね。
このような貴重な体験はめったにできるものではありません。
私はご免こうむりますが。(今時こんな言葉使う人はみかけませんが)
苦労様でございました。
2019年04月21日 23:09
アンポンタン女子が これを読んだら震え上がるかな?(笑)
・・・いや、そんな繊細な人じゃなさそうですね^^;
それにしても、たいへんですね。ストレスフルだし
なんとかこの事態が、打開できるといいのだけど。。。
どりばる 
2019年04月22日 15:04
この文体は素晴らしい!
心拍数の高まりが読み手に ズンズンと伝わってきて
静かに 静かに・・・イカリマグマが今にも噴出してくるようで 迫真です(笑・・・
yu_mama
2019年04月22日 15:53
慈園さま
列に並んだり、雨に濡れたりする間中、頭の中では文章が浮かんでおりまして、スマホにメモしながら、たぶんブツブツ言っていたと思います。変なおばさんになっていたことでしょう。(笑)

いつも慈園さんの言葉やお写真に癒されております。私は人間ができていないものですから、すぐにブツクサ言っております。
コメントありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
yu_mama
2019年04月22日 15:57
麦さま
この修行は、居留許可申請ができるまで、2週間に1度、繰り返される予定です。雨でも風でも台風でも嵐でも猛暑でも・・・と、どうしてもブツブツと文句が言いたくなります。
5年もココに住んでいるのに、こんなことになるなんて・・・と、やっぱりブツクサ。(笑)
私もこんなこと御免被りたいですわ!!
この言葉、もう古いんですか~?
yu_mama
2019年04月22日 16:02
キーブーさま
こんな手紙をもらったら、背筋が凍りつきますね。怖いですよね~私。自分でも恐ろしい人間だと思いますよ。私だったら、こんな人と関わりたくない!って。(笑)

今、夫のパスポートがない時期なので(居留許可申請のために公安に提出中)、とりあえず私一人で香港行き来をしておりますが、夫のパスポートが戻りましたら香港での手続きをしたり、あれこれと準備をして、再び私の居留許可申請トライです。受け付けられれば、2週間ほどでゲットできるはずなんですけどね~。
yu_mama
2019年04月22日 16:05
どりばるさま
さすがでございます。
この慇懃無礼な文章の中にひそむ、激しい怒りのマグマ。噴出させないところが、私自身も怖いと思ってしまいます。自分を俯瞰すると、、、ヤナ人間です。(苦笑)

最後に「翻訳のヒント」などと出しているあたり、私もまだまだですねえ~~~。
2019年04月23日 22:43
読み続けるほどにyu_mamaさんのお怒りのほどが滲み渡って来ました。こういう時は海に行って(近ければですが)大声で「あんぽんたん女子の馬鹿野郎ー!」っと腹の底から叫ぶべきです。どうしようもない制度の国のどうしようもない品格の人達に翻弄されるyu_mamaさんが、ただただお気の毒と思うことしか出来ません
yu_mama
2019年04月24日 00:00
サヤ侍さま
ジワジワとネチネチと、お腹の中の怒りがにじみ出ておりますよね。
海の近くに住んでおりますから、叫んでみようかしら。どうせ日本語なら、誰にもわかりませんでしょうし。(笑)汚い海に向かって

こちらの国の方は、まず謝りませんし、自分のミスを絶対に認めません。ギリギリまで追い詰めたとしても言い訳で終わります。加えて、自分のミスを棚に上げて、大きな声で相手をやり込めて自分の主張を通すことなど日常茶飯事です。それで、今まで私の居留許可が降りていたのかもしれません。
そこに住む以上、こういう火の粉が降りかかることは覚悟しなければならないということなのでしょう。

この記事へのトラックバック