できることをする

前記事「幼児教育に大切なこと」を書きながら、思い出したことがある。

 我が娘が5歳の時、一家はソウルに転勤になった。幼稚園の卒園まで、あと半年ほどという時期に日本の幼稚園を中途退園し、娘はソウル日本人学校の幼稚園に転入した。

 日本人学校の教師は日本から派遣されるが、幼稚園までは予算が出ないため、現地で日本人駐在員の妻で有資格者が採用されたり、韓国人で日本語堪能な方が先生としてクラス担任をされていた。

 娘の入ったクラスは、年配の韓国人先生だった。年長は2クラス。隣のクラスは日本人駐在員妻先生で、クラスのカラーは、かなり違うものがあった。

 卒園式の日。娘のクラスは、きちんと整列して入場し、椅子に座ってから微動だにしない。一方、隣のクラスは、キョロキョロする子、列を乱す子などがいた。

 私には、娘のクラスの整然とした姿が異様に見えた。長い祝辞を聞いている姿は、背筋がピンと伸び、誰も頭がフラフラ動いたりしない。まるで軍隊を見ているような違和感を覚えた。

 娘が卒園すると、今度は息子が入園した。私は、息子のクラスの学級委員になった。

 学級委員になってすぐ、韓国人年配の先生(娘の担任だった先生)に関する、親からの不満が聞こえるようになってきた。

 韓国の教育方針だと思うのだが、上から押さえつけ、叱ることで「きちんとした子」を育てようとする傾向にあり、隣のクラスが外で走り回って遊んでいる間、こちらのクラスは室内で椅子に座る練習、整列の練習をさせられているという。

 そういえば、娘も何週間も前から卒園式の練習ばかりを毎日やらされていることをボヤいていたっけ。

 韓国の教育は、日本とは大きく違う。保護者に見せる部分は、とくに「きちんと」を心がけるようで、教室に飾られる子供達の描いた絵には、先生の修正が加えられていた。
母の日に、お母さんの顔を描いて、参観日に手渡すという行事の時に、
ある男児は
「これ、僕の絵じゃない」
と、言って泣き出したそうだ。
彼は、お母さんの顔を黄緑のクレヨンで塗ったのだが、肌色に塗り替えられていたと言う。
泣いて抗議する男児に向かって
「そんな顔色のお母さんはいないでしょ。」
と、言ったそうだ。

 規律を重んじ、少しでも枠からはみ出すと「叱る」 脅かすようにして黙らせる。その軍隊のようなやり方に、お母さんたちは反発を感じ、とうとう、その先生を辞めさせたいという声が上がってきた。

 私たち学級委員は、それらの声をまとめて、校長室に持ち込んだ。なんども校長との面談を繰り返し、嫌がられながらも切実な親の気持ちを伝え続けた。校長が動き、決断が下されたのは、夏休みに入る前のことだった。

 私たちの「我が子を守りたい」思いは、通じた。人を動かした。

 年配の韓国人先生には、校長から上手に話をして頂き、円満退職ということに運んだ。
教育方針には違和感だらけだったが、長年、日本人子弟のために働いてくださったことには、きちんと謝意を示さねば、と学級委員4名で「感謝の食事会」を企画し、大勢の保護者が集まって、先生にも満足していただいた。

 校長に初めて陳情に出向いた時には、
「海外で、日本人幼稚園があるだけラッキーだと思ってください。他の国にはないんですから」
と、追い出されんばかりだったが、繰り返し話すうちに、ご理解頂けて得られた結果だ。


 どうせ、何を言っても通じないだろう。諦めるしかない、という考えは、私にはなかった。大事な幼児教育の現場で、親が納得できないようなことをされては、黙っていられない。日本なら、他の幼稚園に転園すれば良いだろうが、そこひとつしかない海外での事情もあり、我が子たちを守るには、親が動くしかなかった。


 今、話題になっている『危険思想の押し付け幼稚園』に対して、私は思う。あの経営者を変えることは難しいかもしれないが、親たちの気持ちを動かし、園から離れることはできるだろう。

 子供たちを救いたい。

 今、私にできることをする。

「どうせ、何も変わらない。」と思っていたら、いつまでも何も変わることはない。

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この記事へのコメント

あきさん
2017年03月05日 10:09
yu_mamaさんの前回記事に感動しましたが、今回の記事にも行動をはじめようとする貴女の強い意志を感じて感銘を受けました。
そうなんです。意志が決まったら行動を起こすべきだと思いますね・・・ということで、いったい私に何が出来るか・・・自らの力の無さに愕然としてしまいました。
個人として政治や教育行政に働きかけることはできませんが、森友学園に入学させようかな・・・と思っている父母の皆さんに、再考を勧める運動は出来るのではないかと思います。
もうこれまでにTVの映像等をとおして森友学園が行おうとしている教育方法がいかに恐ろしいものであるかについて、大方のご父兄には充分伝わっているかとは思いますが、念には念を・・・ということでyu_mamaさんのルートから幅広く働きかけていただければ大いに助かります。
昨日から今朝にかけてのニュースを見ていると、大阪府としては不承不承ながらも認可をせざるを得ないような流れになっているようです。森友学園の政治、行政に対する働きかけが可成り浸透してしまっているからではないでしょうか。
ひどい話ですね・・・多寡の問題は別にしても、一旦お金をもらった方としては今更NO!!とはいえないのだろうと思います。情けない話ですが・・・。
斯くなる上は、父兄の方々の良識に期待する方が確実だと思います。「森友学園には入学させない」と言うことです。
政治にも行政にも期待が出来ない。されば国民が自らの意志で行動を起こすべきだと、私は強く思います。日本に危険思想をはびこらせないためにも!!
2017年03月06日 09:51
選択の余地があるから ニヤニヤ してられるけどね 現実は やっぱ 大変だろうなー
どりばる
2017年03月06日 10:41
この記事に 感動、賛同しました!
小さい子どもの親に課せられた選択肢は、まず yumamaさんのように 同意見の人をまとめることだと思いました。親までもが、洗脳されないうちに、、
ちいさいときに刷り込まれた思想は 大人になって なかなか崩せないですね
まず 大人が正しい認識力をもつこと・・・北朝鮮、韓国の嫌日本感情は 消えることがないでしょう。
森友学園があるのは 私の生まれた市のことです。
豊中は 心身豊かな国の中心であってもらわなければと願います

yu_mama
2017年03月06日 14:31
あきさん
幼稚園も怖いですが、小学校となったら、もっともっと大変なことになります。なにしろ6年間ですからね。
次々と政治家との癒着や、金銭がらみがあったであろうことが明らかになってきていますね。あのこんにゃくを「無礼者」と言って投げつけたという人だって、過去には深い交流があったことを裏付けるパンフが出てきています。
4月開校は難しいでしょうね。
首相夫人が、
「幼稚園でせっかく芯のある教育を受けても、公立の小学校に行ってしまうと・・・」
と、語ったことをもっとクローズアップして欲しいものです。公立小学校否定発言を公人(私人と主張していますけど)が、言ってしまうことを「脇の甘さ」で片付けてはいけません。とんでもない発言ですよ。大多数の子が公立小学校に通う日本で、日本の首相の妻たるものが公立小学校を認めていないような発言は、大問題だと思うのですけどね。

昔々、私がまだ学生だった頃(だったかな?)文部省のお役人達は、ご自分のお子様を海外留学させたり、国内でも私立に行かせているから、公立の実情など何もわからないのだ!と、友達とワイワイ話していたことがあります。
私も自分自身は公立を知らずに育ってしまったのですが、だからこそ、我が子には公立に通わせたくて、ソウルから戻って、近所の公立に通わせました。入れてみて私がカルチャーショックを受けましたが、学んだことは大きかったです。中学では障害児もクラス内にいましたので、人間には、いろいろな才能を持った子がいる、成績だけでは決められない良さがあることを、子供達は学んだと思います。小学校から受験受験で育った私と、子供達とでは見てきたものが違うのだな~と、子供から教わることも多いです。
って、全然本論から逸れましたが、柔軟な考え方を身につけることが、子供には大事だと私は思っています。
yu_mama
2017年03月06日 14:33
seizi05さま
そう、海外の日本人学校って、幼稚園併設のところが少なく、あってもひとつですからね。現地の幼稚園に入れるか、インターナショナルです。卒園まで、あと半年という中途半端な時期に入れるところは、日本人幼稚園しかありませんでしたしね。
日本は選べるんだから、きちんとした親の目で選んであげてほしいものです。
yu_mama
2017年03月06日 14:44
どりばるさま
この小学校の説明会が開かれましたね。集まった親達は、どういう心境なのでしょう。4月開校には間に合わないであろうことも併せて、地元の公立校への入学手続きを取った方が良いと思うのですけどね。子供達が一番の被害者です。
親の思想も偏っているから、ここを選んでいるのでしょうかね。少なくとも、幼稚園に通わせている親達は、あの運動会の宣誓を見ても違和感を覚えず、訳の分からぬ言葉を暗誦していることにも不思議だと思わない、嫌悪も感じないということなのかしらね。でしょうね。

教育勅語は儒教の考え方が基になっているのですが、その儒教は孔子の教えでしょ?それって、中国でしょ。なんだかよくわからない学園の方針です。

豊中でお生れになったのですか。あそこの土地は沼地だったとか!?あ、お生れになったのは、そんな時代じゃないですか~。

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