我が父!!

 ヒマな主婦のはずが、これでなかなか忙しい。

 ランチでしょ、飲み会でしょ、コンサートでしょ。

 ふだんは自分のことで精一杯なところがあり、ついつい実家の父のことを忘れがちだ。いやいや覚えていはいるけれども、ひとりで元気にやっているだろうとほったらかしにしている。父からのSOS電話があれば飛んで行くことはあっても、なかなか用もないのに私から行くことはない。

 お彼岸くらいは、自主的に実家に顔を出さねばなるまい。

 母のお墓参りをしてから実家の父を訪ねた。基本的に昼食を食べないことが多い父だが、そのぶん、おやつに甘いものを食べるので、タイミングを見計らっておはぎを持って行った。 

 話し相手もいなくてヒマにしていた父は、ちょうど良いところに(カモが)来た!と、ばかりによく喋った。 最高裁大法廷で行われた違憲裁判「婚外子の差別問題」についてモノ申したい父は、私見をまくしたてた。 

 若い弁護士たちや、現役を退いている盟友相手に、既にあちこちで自分の意見を述べまくったらしいが、それでもまだ言い足りないようで、原稿用紙を広げて論文まで書いているところだった。


 その話題にたいした興味も示さなかった私に対して父は不満らしく、あらゆる切り口から話す。なにがしかの意見を言って欲しいのだろうが、一言何かを言えば、10倍返しで反論が戻ってくるに決まっているので、父の言うことを黙って聴くに限る。そんなことは、59年前から心得ている私だ。父は議論したいといいうよりは、人の言葉を捉えて猛烈に攻撃することを趣味としているところがあるので、引っかかったら危ない危ない。実際に、この問題についてキャリアのある女性と話した時に、相手の言葉に対して
 「そういう感情論を持ち出すからイカン!」
と、口角泡を飛ばす勢いで論破し、相手はタジタジだったそうだ。相手が一言も言えなくなるところまで追い込むことこそ、父の快感の違いない。だから、私の意見を手ぐすね引いて待っているようだったが、そんな手には乗らない。ふ~ん、へえ~、としか言わない賢い私。

 ひと通り喋って満足したのか、はたまた私の「のれんに腕押し」の姿勢に降参したのか、日常の話に戻った。やれやれ。

 半月ほど前に芝浦の方で会合があったらしい。お昼の12時から2時までの会なので、タクシーで自宅最寄りの駅まで行き、あとは電車で行く段取りを考えていたらしいが、その日、たまたま電車が止まっていたそうだ。人身事故らしい。私鉄が使えないとなるとJRで行くしかない。ところが事故の影響で道路渋滞もあり、タクシーの到着も遅れた。渋滞を避けるようにしてJRの最寄り駅まで行こうとしている途中で私鉄が動き出したという情報も入り、それでは便利な私鉄駅に!と行く先を変更。

 タクシーを降りて駅に行くと、急に便意をモヨオス・・・

 ここからは尾籠な話になりますので、繊細な方、もしくは口にモノをほおばりながらブログをお読みの方は、スルーされた方がよろしいかもです。



 駅構内のトイレに駆け込んだものの、狭い個室で自分の着衣を下ろすことがなかなかスムースにいかなかったようでございます。と、急に文体が丁寧になります。

 身体が大きいわけでもないのですが、狭い個室での動作は大変なのでございます。そこは88歳。指先の力も弱くなっています。家ではリビングですべてを脱いだ状態で個室に入れますが、公衆の面前では、個室のドアをキッチリ閉めねばなりません。

 で、間に合わなかった

 まあ、慌てれば慌てるほど誰でも手元がうまくいかないものでして、もともとパニックに陥りやすい父ですから、史上最悪の慌てぶりだったことは想像できます。

 しかも気が付けば、そこにあるべきペーパーがない!! 

 自分の持っているあらゆる紙類、布類を使って始末をしたようでございます。しかし着替えがあるわけではないので、そのまま個室を出るしかない状況で、もちろんこのまま会合に向かうわけには参りません。

 会の仲間に「遅れる」旨を連絡しようとして、携帯をポケットから取り出します。ふだんは携帯なんて持たないことが多くて、私の従兄から「オジさんの不携帯」と呼ばれている携帯なのですが、その日は虫の知らせと言うのですか、珍しく持っていたのでございます。急いで連絡をしようと焦れば焦るほど、ふだん使い慣れない携帯を使うことは難しかったらしく、結局、電源も入っていなくて用をなさなかったそうです。

 とりあえず、家に1度帰って着替えねばなりません。駅からタクシーに乗って家に戻ります。たぶん、タクシーの運転手さんには「臭害」でご迷惑をおかけしたものと思われます。父の後に乗った乗客の方にも、不快な思いをさせたのではないかと、娘としては心配でございます。この場をお借りして謝罪致します。

 家に戻り、全身を洗い流したそうでございます。(全身か!?)

 そのまま外出先で死ぬと困るので、汚れ物の簡単な洗い流しもしておいたようでございます。そのあたりは、しっかりしているのでございます。

 ようやく会の仲間にも連絡をし、再びタクシーを呼び、大遅刻覚悟で会場に行けば、すでに宴もたけなわ!お開きの寸前だったようでございます。きっと高い会費を支払っていたことでしょうが、食べ物の残骸を見ながら、駆けつけ3杯と挨拶でドタバタと終わったようでございます。

 帰り道は、ゆりかもめに乗って新橋まで出ることになり、お仲間の方々と歩いたようですが、新橋に着いた時に具合が悪くなり、なんとも歩けないほどに心臓の鼓動も早くなっていたそうです。まだまだお元気な方々と、その場で別れ、新橋から自宅までタクシーで帰って来たのでございます。

 家に着いてから、血圧、脈拍を計ったら 105-50 の血圧と 105の脈拍で死ぬかもしれないと思ったそうでございます。少し落ち着いてから計ったら、脈がいつものように80くらいになっていたので安心したと申しておりました。

 人間は、そう簡単に死にませんって。とくに父は、まず死なないと思います。たぶん、永遠に死なないでしょう。そんな気がしている娘でございます。

 会合に出ていたのは、ほんの20分程度。会費と交通費だけで大変な散財だったと申しておりましたが、何があっても自分で判断し行動している間は大丈夫でしょう。



 

 だがしかし、違憲問題の論文を書くことに夢中になっていて、お鍋を焦がしたというから・・・

 やはり88歳! 

 心配な面もありますものの、この調子で、きっと100歳は超えるはず・・・

 あっぱれな父なのでございます。


 私が先にボケそうなのが、目下の一番の悩み 


この記事へのコメント

2013年09月27日 11:59
ほ~んとあっぱれなお父様!!笑っちゃいけないと思いながら、自分の父親と重ねてつい笑いが・・・。ひと言言ったら10倍返しだったり、理屈っぽくて論破したがるとか、そうそうだから私も相槌は打っても反論はしません。今はお酒飲めないからお喋りなじーさん程度までテンション下がってるけど、それでもうるさい!!ってキレたくなるもん。
お父様、どんな事があっても自分で判断して自分で対処して・・・。そんな失敗があっても、まだまだ子供の世話になんてならないって感じですね。
2013年09月27日 20:05
何ともコメントがしにくいのですが、おとうさん、
お元気ですね!
その娘がyu_mamaさん、“還暦”なんていう言葉は
ぶっとんでしまうのでは・・・?

yu_mama
2013年09月27日 20:23
Selfishさま
この年代の父親像っていうのは、似ているところがあるかもしれませんね。 やはり、10倍返し!ありますか~。(笑)昔は、怖かったから反論も何もできなかったのですが、今では怖さは少し減ってきました。年でしょうかね~。
父は、娘二人しかいないことで、最初から頼らない!って決めているようなところはありまして、そこはとても助かります。これで男の子がいたら、もっと違ったでしょうね。
ある意味、娘二人で良かったのかもしれません。父は誰にも頼らず生きて行かねばならんって思うからこそ、ボケることもなくしっかりしているんだろうな~と思います。
それでも88歳。これから、色々と出てくるだろうなーと思います。
yu_mama
2013年09月27日 20:26
風待月男さま
父がいつまでも元気なので、こっちもうかうかしていられないっていうところです。追い越しちゃったら大変ですもの。(笑) 還暦のお祝いの言葉を、すでに月男さんからは頂きましたけど、まだまだですのよ~~~。あと2ヶ月ね! 
2013年09月28日 06:45
おはようございます。
まだまだ元気で頑張っているお父様。。。
若かりし頃は、さぞかしご立派でユーママさんご姉妹も大変だったとお察し申し上げます。
遠くにいる身内より近くの他人なんて聞いたことありますが、身内でなくてはわからないアウンの呼吸があるのかななんて感じてしまいました。
yu_mama
2013年09月29日 18:57
パックさま
何事にも「自分の考え」があり、もちろん自分が正しいに決まっているわけでして、そりゃーもう、子供の頃は頭から怒鳴られておりました。それも私だけ。妹は怒られたことがないんですよ。長女と次女は、扱いがまったく違うのです。それが父流。母と私は、当たり散らされておりました。妹はよその子なのかと思っちゃうくらいでしたよ。(笑)
父が80歳の時、母が74歳で亡くなりまして、ようやく怒る頻度が減ってきましたけどね。娘にさんざん怒鳴って育てたという自覚はあるものですから、娘に頼らないぞ!と決意したらしく、その点は自分で決めたことを今も守っていて助かります。
しかし・・・やはりこの年齢になると、色々と心配も出てきますね。まずは、私より長生きされると困るな~~~ってとこかな。(笑)
2013年10月05日 11:57
御父様 出先でのトラブルもご自分で対処なさりさすがにご立派ですね。
主人の父や母の下の世話の経験はございます。
今ほど介護用品が充実していない時でした。
次は自分たちの事にならぬようにと二人してストレッチ体操に努めてます。
yu_mama
2013年10月06日 19:38
つくしさま
頭はしっかりしているのですが、やはり動作がのろくなっているのですね。自分のイメージしている以上に時間がかかるということなのでしょう。手先の力も入らなくなっているようです。
今は介護用品も至れり尽くせりのところがありますから、安心して外出できるようになっていますね。そうやって足腰をいつまでも鍛えることが大事なのでしょうね。
私は、誰よりも筋力がありませんので、今からストレッチの必要がありそうです。

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