秋深し 田舎編

じっちゃんは退院後、義姉の家で暮らしている。長野県の家は無人のまま、義姉の家のある群馬県にいる。

無人の長野の家は、冬の凍結から守るための支度をすでに終えている。(我々が作業を請け負った)

じっちゃんの背骨の骨折は治らないが、家の中で車椅子を使えるまでに回復した。病院で寝たきりの状態だったことを考えると、少しはよくなっている。私の演奏会があったため、このところは夫一人で見舞いに行っていた。

演奏会が終わったと思ったら、じっちゃんから電話があった。
「yu_mamaさんかい?手紙を書いたから、よく読んでくれや」
と言われ、長野の家に行ってきて欲しいと頼まれた。

翌日には、我が家に封書が届いた。分厚い封筒の中には、じっちゃんの思いがぎっしり籠められていた。

無人の家のことが気になるらしい。それはそうだろう。じっちゃんが生まれ育った土地であり、50年ほど前に自分が建てた家だ。昔の大工による建築だから、今の壁を貼り付けるだけの簡単工法とは違って頑丈にできている。それでも、人が住まなくなれば家はすぐに傷んでしまう。そのことが気になるのだろう。

医者に
「1度だけ、田舎に行きたいんだけど、いいかね。」
と尋ねたとき、医者は
「1度と言わず、何度でも行っていいですよ」
と言ってくれた。

が、実際問題、入院していた群馬県の病院から田舎までは何時間もかかる。椅子にもろくに座れないじっちゃんには無理な話だった。新幹線に乗って、さらに車で1時間も走らなければ田舎に着かないのだから、どう考えても無理だった。なんとか、もう1度行きたいと願っていたじっちゃんの希望は、現実の前に崩れ去った。

「yu_mamaたちで田舎に行ってきてほしい」と書かれた手紙は、便せん11枚にも及ぶ。見てきてほしいところや、確認してほしいこと、持ってきてもらいたい物などが書かれていた。気持のままに書かれた手紙は、1度では判読できないほど内容があちこちに飛んでいた。頼みたいことに自分の気持ちや、過去のことが絡むので、要点を抜き出さないと正しく理解できないような手紙に、じっちゃんの慟哭を知る思いがする。


依頼を受け、土曜日に出かけた。あいにくの曇り空。寒い日だった。

途中立ち寄ったPA  最後の紅葉に出会った。
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諏訪湖を眺めるSAのアウトサイドで、お弁当を広げる。
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諏訪湖からさらに40分ほど。

峠を越えれば、じっちゃんの田舎に着く。

「秋深し」というより、すでに冬を感じる風景だった。

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家の裏に流れる川
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昔はもっと豊かな流れがあり、こんなに整備されていなかったので、夫の子供時代は川に入って遊んだらしい。

夫が小学生になったとき、
「ボクはもう大きくなったから、こんなおもちゃで遊ばない!」
と言って、ブリキのおもちゃを捨てた川らしい。

後でこっそり、叔母が川に入っておもちゃを拾い集めたという。

そんなエピソードを記憶してくれている川。

やっぱり、じっちゃんを連れて来てあげたかったなあ。



帰りは、荷物をたくさん積んで、群馬県に向かった。じっちゃんは待ちくたびれたかのように、首を長くして待っていた。持ち帰ったものの中には、アルバムもあった。じっちゃんの若いころや、亡くなった義母の若かりし頃の写真がいっぱいあり、みんなで眺めた。

「よし、これにしよう。」

うん??  なに??

遺影は これって 決めたらしい。 はぁ~~

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この記事へのコメント

2008年11月21日 12:44
こんにちは
長野まで行って、それから群馬、お疲れ様でした。お義父さま、少しづつよくなってらっしゃるようでよかったですね。
遺影を選んだんですか?
うちの姑は、もうとっくに選んでありますよ。しかも額縁入りです。(黒ではありません)
あしあと
2008年11月21日 17:30
最近、頻繁にリアル写真をアップされてますね~
ちょっとお肉付きました?...なぁ~んちゃって、久々のコメントなのにすみません。紅葉をバックにいいお色のカーデ?です。、良くお似合いですよ。
じっちゃん、どうされてるかな~と思っていました。実際に長野に行けたら良かったのにやっぱり無理はできませんよね。でも、yu_mamaさんに手紙をくれたなんて嬉しいじゃないですか。信頼されているんですよね。
手作りのお弁当を持って行くところがmamaらしいです。大自然の残る裾野でpapaさんは育ったんですね~ なんだかしみじみします。
2008年11月21日 20:25
こんばんは。
群馬も長野も、一度は行ってみたいところです。
長野は、やはり山々の景色がすばらしいですね。

写真を決めておくのは、イイコトだと思います。
周りの人にも、いいですよね。

それから、田舎のお写真、もちろんご本人は、馴染みの風景でしょうが
今回の様子を写真に撮られて、お父様にご覧いただくのでしょうか。
それとも、かえって気がせってしまうでしょうかね。
yu_mama
2008年11月22日 00:34
☆あるこあるこさま☆
まあ、私も決めてあるっていえば、あるんです。(笑)なかなか自分だけのアップ写真ってないでしょう。どんな小さな写真からでも、遺影は作れるのですが、なるべく大きい方が鮮明になるんですよね。ってことで、ドアップ写真を確保してある私。
お姑さんは、額縁入りですか。すご~い。
そうそう、義父は棺に入れるものまで決めているようです。
yu_mama
2008年11月22日 00:34
☆あしあとさま☆
まあ、お珍しいことで。^^ようこそ(笑)
太ったって、やっぱりわかりますよね。リアル友人は、痩せたときには「痩せたねえ」って言ってくれたのですが、太ったときには言わないのねえ。気を遣ってるのかねえ。しっかり太りました。
憎まれっ子 世にはばかる・・・って申しますでしょ。じっちゃんは、長生きしそうな気がするんですけど~。アハハ。退院して義姉の家に入ったら、我がままが言えるって喜んでます。いやいや、病院でも相当な我がままでしたのよ。ここだけの話。
夫は良い土地で育ったのですが、15歳まで。近くに高校がありませんから、寮生活で遠くの高校に行きましたのよ。ここの環境で育てば、もう少し素直でいい子に育ったと思うのですけどねえ。アハハ、これもここだけの話。
yu_mama
2008年11月22日 00:42
☆カラスさま☆
田舎でしょ~。群馬は住んでいるところが都会なので、東京の私たちが住んでいるところより建物いっぱで便利そうですけど。長野の田舎は、ホントに田舎ですの。
実は、峠を走っているあたりからビデオカメラを回しておりました。家の周辺は、幼稚園や小学校をわざわざ回ってビデオを撮り、それを群馬の家でみんなで観たのです。義姉も久しく走っていない峠の景色に眺め入っていました。ピアノのCDをBGMにして、なかなかのビデオ映像になりました。じっちゃんも、見慣れた景色を懐かしそうに見ていました。行けないことは、自分で観念したようです。やっぱり痛い思いはしたくないし、悪化させたくないでしょうしね。その代わり、何から何まで細かい指示がありましてね。私たちはじっちゃんの忠実なる手足にならねばなりませんの。
さとし君
2008年11月22日 19:16
なんか読んでますと、義父さんの長い~お手紙に、お応えになって、じっちゃまさんもいつもyu_mamaさんには「助けられ」良かったな~との気持ちになりました。本格造りの屋敷を守っていきたいのは、みなさんお年よりのお気持ちですから。
諏訪湖から峠越えをして、ご主人さんの古里ですか~。僕は隣の県だからわかる、わかる。
信州人は理屈ぽくて、頭のいい人が多いですから、長い~手紙になるわけです。(笑)(←ややジュークですから^^)これで、じっちゃまも屋敷も冬を安心して迎えられます。お疲れさまですね。
高速の諏訪湖をみおろせるSAは、知ってます。いいね~あそこ。諏訪湖が緑色にみえるは残念だけど。。でも、お弁当はうまかったのでは。。
yu_mama
2008年11月22日 21:49
☆さとし君☆
夫が単身赴任中に初めての入院があり、そのころは長野県の病院でしたので、私は高速飛ばしてお見舞いに通っていたのです。じっちゃんは、その後、群馬県の病院に2度ほど入院し、今回が3度目でした。何度も入退院を繰り返していても、息子は1度も見舞いに来なかった!というのがありましてね。嫁はよくやってくれている!!と、まあ、私のポジションが上がったわけです。(笑)
じっちゃんは、自分の言いたいことをあれこれと混ぜながら、書いているうちにまた思いだして枝葉に分かれ、結局、何が言いたいのかわからないような手紙になってしまいます。話すように思いだし、思い出し書くのでなが~くなりますの。
SAでおいしいものに出会いませんので、手作り弁当になってしまうのです。添加物も嫌ですから、自分で作るっきゃないんですわ。
2008年11月23日 00:20
yu_mamaさん♪
写真のたち方がモデルさんみたいよ。
紅葉とマッチしてるわね。ブラボー。

じっちゃん遺影を決めたんだ。
いいんじゃない。明るくていいな。♪
yu_mama
2008年11月24日 01:35
☆ソナチネさま☆
ジャーン!モデル立ち なんちゃって。少しでも細めに見えるように、努力してますねん。って、痩せる努力をしないで何言うてんの?ですわね。

じっちゃんねえ、他にも色々と決めてるんです。葬儀場とか喪主とか、連絡する人はもちろんのこと、来てくれた人を泊めるホテルまでココって決めてます。とにかく仕切り屋なんです。人の葬式は、いつも仕切ってきましたから、ついでに自分のも仕切りたいようです。みんな呆れながら、勝手に言わせてます。(笑)

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